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ポッキーの日(2)
「何で笑ってんだよ」
「ごめんごめん、ちょっとおかしくって」
「あ?」
「ううん。気にしないで。それよりさ、やっちゃおうよ、ポッキーゲー……え、」
ゲームするなら向かい合わなきゃって、彼の方を振り向くと、視界に入って来たのは短いポッキー。
いや、ポッキーゲームできないじゃんそれ。
「ねぇ、これ短くない?」
「はぁ?」
「咥えた瞬間に口当たっちゃうよ? 終わっちゃうよ?」
「んだよ、口当たったら嫌なのかよ」
「そうじゃないけどさぁ、せっかくやるなら……」
長く楽しんだ方がいいじゃん?
そう言おうとして、やめた。
あぁ、そういうことね。
やりたかったのは、ゲームじゃない。
それはただの口実だ。
「キスがしたいなら最初からそう言えばいいじゃん」
「……っ、」
「ポッキーなくたって、いつでもキスするよ? 俺、嫌じゃないよ?」
「……うるせっ、」
黙って咥えろ。
そう言った彼が、たまらなく可愛くて。
俺はまたおかしくなって笑った。
END
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