166 / 224
ポッキーの日(1)
「今日ってさ、ポッキーの日だろ?」
学校の帰り道。
いつものように誰もいない公園で二人で過ごそうとベンチに座れば、恋人が唐突にそんなことを言い出した。
確認しなくても散々クラスでみんなが騒いでたじゃん。
そう思うけど口には出さない。
だって分かってるもの。
彼は、さり気なくそのネタを出したつもりなんだって。
何を言い出すのか、それももう分かってる。
それが分かってるから、さり気なく出したかったってのも分かったんだし。
「ポッキーゲーム、やらねぇ?」
ほうら。
きたきた。
絶対これ言うと思ったよ。
見た目はライオンみたいな強面なのに、中身はたまにヘタレで可愛いんだから。
「いいよ、ポッキーゲームやろう」
にこりと微笑んで彼を見れば、嬉しそうにカバンからポッキーを取り出した。
ちゃんと買って来たんだなぁ。
どう見てもヤンキーの彼が、ポッキーを買ってる姿を想像するとおかしくなってくる。
店員さんも、え?コイツがポッキー買うの?それってポッキーの日のため?と、驚いたに違いない。
そんな光景を考えると、自然と頬が緩み、気がつけば声に出して笑っていた。
それにさ、可愛いじゃん。
俺とポッキーゲームしたくて、ちゃんとポッキー用意してるんだもの。
こういうとこ、すごい好き。
オスっぽい一面も好きだけど、この可愛らしい一面も大好き。
ともだちにシェアしよう!