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③How to convey love

腰に繋がれた専用の小さなキーボードで質問を入力すると、瞬時に答えを検索し、後頭部に取り付けられているスピーカーから音が発せられる。 それはひび割れた金属のような、くぐもった音。 ――いや、声だった。 大きな大きな窓がある、白くて伽藍堂な俺の部屋。 窓から入る日の光が当たらない場所に、そいつはじっと椅子に腰かけていた。 白髪の混じった頭髪は一本の綻びもなく几帳面に撫でつけられ、纏っている黒の執事服はどこを見ても折り目正しい。 両手は軽く拳を握り、膝の上に行儀よく置かれている。 腰の辺りから伸びたコードの先に、変色した古めかしいキーボードが繋がれていた。 ただ正面を見つめる瞳にはきっと何も映っていない。 仕様も旧式なら、見た目も旧式だ。 『え? 音声認識できないの?』 『ああ、友人が新商品に買い替えるそうで、要らなくなったものをもらってきたんだ。相当な年代物だよ。だから労働なんかは全くできない。もう動かないんだ』 何ヶ月かぶりに顔を見せた父親は恩着せがましく、俺に言った。 『でもおまえ、欲しがってただろう? 検索ロボット』 俺の声はこいつには認識できないらしい。 俺は試しにポチポチとキーボードで質問事項を入力してみる。 途端にスピーカーから、雑音の混じった低く落ち着いた男性の声が聞こえてきた。 「なんだ、その答え」 俺は検索ロボットの出した結果に眉根を寄せて呆れた声を出す。 「今そんな説を唱える学者なんていないぜ? 去年スウェーデンの研究所で新たに発見された事実に覆されたんだ。じゃあこれは?」 また、無機質な声が出る。 俺は溜息を吐きながら、ソファにどっかりと腰を下ろした。 「答えも旧式だなんて、ちっとも役に立たないじゃないか。俺は新しい知識を教えてくれるものが欲しかったんだ。……こんなもの、要らない」 俺の悪態にも関わらず、そいつは前を向いたまま澄ました顔をしている。 ああ、言葉は伝わらないのか。 俺は腹いせに『役立たず』とキーボードで打ち込んだ。 「役に立たないこと、またはそのような人やもの。…………申し訳ありません」 「えっ」

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