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第4話
何がなんだかわからないまま部屋の中に引きずり込まれると、ケントは埃っぽい畳の上に押し倒された。
ジムで鍛えた自慢の身体の上に、華奢な二つの身体がのしかかってくる。
「わぁ。カッコいい……菖蒲、この人ちょっとタイプかも」
ケントの右側からぐっと体重を乗せてきた子が、うっとりと目を細めて呟いた。
「ほんま、色男やわ」
左側にいるボブヘアーの子が訛り言葉で賛同しながらケントの胸板を妖しげな手つきで撫で回してくる。
ケントはゴクリと唾を飲みこんだ。
突然舞い込んできた甘い誘惑に思考が全くついていかない。
しかし、惑乱する頭の中とは裏腹に飢えた肉体は既に反応を見せていた。
二人の痴態を目にした瞬間から……。
「あーん菖蒲、我慢できない」
しっかりとテントを張ったケントの局部に菖蒲の艶めかしい太腿が押し付けられる。
「キクも……」
熱い甘い息を吐く二人の男娼に挟まれて、ケントは硬直したまま目を見開いた。
自分の内側、深い場所で何かがゆっくりと立ち上がる気配がしたからだ。
それはどろどろとしたもので、一度暴れだすとケントの理性など軽く吹き飛ばしてしまう恐ろしい奴だ。
ケントはそいつの正体を知っている。
色情症に悩まされている間、ケントの内側で生まれた恐ろしいモンスターだ。
そいつはとてつもない衝動を抱えていて、ケントはこれまで何度も自分の内側で抑えつけてきた。
しかしこの誘惑を目の当たりにして、未だかつてないほどの勢いでそいつの存在が大きくなっていく。
まずい……。
「ちょっと待って 」
ケントは慌てて制止を促した。
しかし男娼二人はケントの言葉を聞いても、頭の上に疑問符でもつけたような表情で見下ろしてくる。
「ちょっと待て 。聞いてるのか? 」
「キクちゃんこの人何て言ってるかわかる?」
菖蒲がケントのボトムスのジッパーを下げながらキクに訊ねた。
キクはさぁ?という顔でシャツのボタンを外していく。
そして唐突にあ!と声をあげた。
「早う挿れさせてくれ言うてるんちゃいますやろか」
「え? キクちゃんすごい! 頭いい!」
菖蒲がキクに向かってキラキラした眼差しを向ける。
褒められた事が嬉しいのかキクはえへへと照れ笑いを浮かべた。
もはや呆れて言葉も出てこない。
しかしキクの翻訳は強ち間違いでもなかった。
引きずり出されたケントの陰茎は、今にも爆発しそうなほど膨れ上がり菖蒲の手の中でビクビクと脈打っている。
穿つ場所を求める凶暴な雄の塊。
その、今にも爆ぜそうな限界ギリギリのものに菖蒲とキクの指が絡みついてきた。
「あは、お兄さんのコレ、えらい大きゅうて元気やわ」
「菖蒲、触ってるだけでイッちゃいそう」
指を這わせながら、妖艶さを含んだ二人が挑むような眼差しでケントの表情を窺ってくる。
挑発を受けてまたケントの中のモンスターが一段と大きくなった気がした。
***
「ちょ、ちょお、菖蒲ちゃん、欲張りすぎやしっ」
「キクちゃんだって」
目の前に広がる凄まじい光景にケントは思わず「 oh my God…」と感嘆詞を呟いていた。
なぜなら、まだ幼い(と思われる)男娼が自分の股間を舐めしゃぶっているからだ。
しかも二人で競い合うように。
色情症を患う前、モデルやタレントなど何人か恋人と呼べる関係になった事はある。
気が乗らないときはただただひたすらセックスを楽しむ所謂セフレのような関係を持った事だってあった。
しかし、それはあくまで一対一の話であって流石のケントも二人の男子にフェラチオをしてもらう経験は初めてなのだ。
「キモチイイですかぁ?」
菖蒲が先走りの溢れた先端をチロチロと舐めながら訊ねてきた。
濡れた舌が、筋張った雄茎を縦横無尽に這い回る。
「いつでも出してええですから」
キクの小さな唇が悩ましく開き、そのままくびれあたりまですっぽりと含まれた。
そのまま口の中に何か生き物のでも飼っているのかと思うくらい壮絶な動きで、舌が、唇がヌルヌルと砲身を扱く。
それは今まで経験した事のないようなフェラチオだった。
しかも信じられない事に、二人はケントを奉仕しながら片方の手で互いの後孔を解しあっている。
「は…んっ…キクちゃ…あっ、菖蒲…っそこ…すきぃい」
「菖蒲ちゃ…キクもそこ…んんっ、すぐイッてまう」
相手の孔に指を埋めグチュグチュと掻き回しながらあんあんと乱れているのだ。
あぁ…神さま… ケントは眉を寄せるとそっと懺悔した。
この子たちはこれが仕事なのはわかっている。
しかしどう見ても中学生くらいのに男の子二人に奉仕され、その幼気な口内に射精をしてしまう事が酷く罪深い事のように感じてしまうのだ。
俺はショタコンじゃない、断じてショタコンじゃない。
心の中で何度も唱える。
しかし、物理的な刺激に触発されて自分の内側にある欲望を抑え込む事ができない。
「…はっ…くっ…」
ケントは二人の後頭部を掴むと強引に押さえつけた。
喉奥にぶち当たったのか、キクが低く呻く。
しかし、ケントは構わず二人の頭を押さえつけるとガツガツと腰を打ちつけた。
我を忘れたむちゃくちゃな腰遣いにもかかわらず、二人は全く奉仕の手を緩めない。
それがまた劣情を煽り、ケントは無我夢中で快楽を追った。
律動と共にむくむくと大きくなるモンスター。
しかし、もうそいつを抑制する手立てはない。
「……っうっ!」
ケントは低く呻くとキクの口からズルリと昂りを引き抜く。
そして、二人の開いた口の中に代わる代わる白濁をぶちまけた。
色情症のケントは一度に出す量が多い。
幼気な二人の口内だけでなく顔も髪もあっという間にケントの青臭い欲望に染まっていく。
しかし、二人はその夥しい量にも臆する事なくうっとりとした表情で精を飲み下した。
「は…っ…おいしおす……」
舌舐めずりをするキクの表情に下半身が再び漲っていく。
「あは、元気になるのもはやい」
萎える事のないケントの股間を凝視しながら、顔から精子を滴らせた菖蒲が無邪気に喜んだ。
プツン、と何かが千切れる音がする。
ケントは盛大に舌打ちをするとむくりと起き上がり二人を畳の上に組み敷いた。
「「あ」」
形成逆転された菖蒲とキクが二人揃って驚きの声を上げる。
「おい、このビッチ共。望み通りに犯してやるから覚悟してろよ」
ケントの低く荒々しい口調と表情に菖蒲とキクは顔を見合わせる。 しかしすぐにとろりと瞳を蕩かせたのだった。
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