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第59話
目を開けると今まで見たことのない顔で彩が微笑んでいた。
「可愛い声聞かせて欲しいんだ。我慢しないで」
「んッ…や…」
「可愛いよ匠…もっと…可愛い声聞かせて」
ヌルヌルと俺の口内を動き回る彩の人差し指。
水音が耳に響いてどうしようもなくいやらしい気持ちになる。
「あッ…嫌…嫌…」
「…俺のこと、嫌いなの?されてることが嫌いなの?」
「…んん…う…嫌…」
「ほんとは好きなんじゃないの?」
「んッ」
彩は唐突に俺の下半身をまさぐり始める。
欲しかった刺激を欲しかった所に与えられ、俺の体は思いのほか跳ねた。
「ほら、こんなに濡らしてるのに、嫌なの?」
「あぁっ…やだ……」
俺の上半身を支えて持ち上げると、見せびらかすようにゆっくりと俺自身を撫で回す。
カーテンの隙間からの光以外すべて遮断された暗闇の中でいやらしく先走りが光る。
「気持ち良いでしょ。それともこうして濡れちゃったのは刺激を与えたからで、心は気持ちよくなれてないの?嫌ってだけ言われても、何が嫌なのかわからないよ、匠。…どうなの、ほんとは好きなんじゃないの?えっちなこと」
「…いやだぁ…無理…もう…無理…」
彩の手から逃れようと腰を動かすが、強請るように揺れただけであった。
ドロドロと欲望が流れてくるのが自分でもわかり、恥ずかしさと気持ちよさで自分がどうしたらいいのかよく分からなくなっていた。
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