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第104話※
「ん……ンぅ……はぁ……っ、」
息苦しいと思うのに、それと同時に合わせた唇を離すのが堪らなく惜しい。
何度も角度を変えながら合わさる舌を追いかけているうちに押し倒された。
さっきまでとは違う、ある意味見慣れたロイさんの表情。頬から目の際まで赤く染まっている。何度も口付けたせいで唇までもが熟れている。苦しげに吐き出す息が艶っぽい。
さっき着たばかりの衣服を性急に脱がされた。
途中、引っ掻くように突起へと触れられてビクリと身体が跳ねる。
さらけ出された首筋に吸い付かれるとゾクゾクとした快感が走った。
「あ……っンぅ……」
「あつし……」
「あ、ろくとさ……っやだ……」
1人だけ脱ぐのが嫌でシワになるのも構わずロイさんの服をたくし上げる。
「ひとりだけ……やだ……っ」
「……っ、これでいいでしょ」
普段なら怒られるのだろうが、余裕が無いらしく先程よりも余裕無さげにバサリと脱ぎ捨てるとベッドの向こう側へ放った。
滑らかな肌に触れるのが気持ちいい。
撫でるようにして肌を合わせると熱いくらいの体温を感じる。
そっと触れると堪らず抱きしめられた。
苦しいくらい深く口付けられながら、ズボン越しに揺すられると喘ぎ声が漏れる。
「ぁ……っあァ……っ、」
「ん、気持ちい……?」
口付けの途中、吐息混じりに尋ねる声が低く響いた。甘く痺れるような声音にコクコクと何度も頷く。
「や、だめ……っ、」
「ん……?」
「イッちゃう、から……っ、」
イっていいよ、とアツシの耳元に囁きながら態とらしくリップ音を聞かせる。
濡れた音に背中まで快感が走った。
1人だけイくのが嫌で首を横に振るが耳の中に舌を差し込み止められる。
「だぁめ」
「ひぃ……っァ!!」
ぐちゅぐちゅと卑猥な音が直接耳に響く。
時折甘噛みをしながらも丁寧に舐め回される。
「……辛いでしょ。一回イって」
「や、あ゛ぁ……っ!」
いつの間にかずり下げられたズボンの隙間から手を差し込まれ直に握られていた。
何度もグチグチと扱かれて思わず腰を引くが、ベッドに押し倒されているので逃げられない。
それでも及び腰になると骨盤で押さえつけられた。
「や、だめだめ……い゛……っあぁ゛!!」
あっという間に上り詰め、されるがままにロイさんの手のひらの上で果てる。
「あ……は……っ、」
肩で荒く息を吐き出すが、休む暇もなく今度こそ全て脱ぎ去られた。
ロイさんの香りも更に強くなる。
これ以上はもう意識を保ってられない。
――そうなる前に。
自分から首輪に手をかける。
手が震えてもたついてしまったが、ロイさんは急かすこと無く見守ってくれる。
なんとかロックを解除すると何も付けていない首筋をさらけ出した。
「ろくとさん……噛んで。おれも、ろくとさんと番になりたい……」
「アツシ……アツシ好きだよ」
切ないような、苦しげな表情でアツシの頬を包み込むと何度もキスを送る。段々と首筋に移動しながら抱きしめていた手はあちこち身体を這う。
そのうちすぼみに触れた指がそっと入口をなぞった。
それだけでゾクゾクとした快感が止まらない。
「ここ、凄いね」
耳元で囁きながらぴちゃぴちゃと態とらしく指でノックしては音を立てる。
何だか焦らされるようなそれに堪らなくなって身動すると正しく理解したロイさんの指が少しずつ中へと入ってきた。
「……ふ……っンん……っ、ぁ!!」
ゆっくりと入ってくる指の感覚にぞくぞくとした快感が走る。中を広げられるとそれだけで気持ちがいい。
時折いい所を掠めるとビクリと身体が跳ねた。
「はぁ……っ、」
いつもならそんな反応すら楽しむロイさんだが、今日は余裕がないらしい。射抜くような目でこちらを見つめながら艶っぽく息を吐き出している。
その様子を見て更に煽られ過敏になった身体がビクビクと震えた。
「も、大丈夫ですから……はやく……挿れてください」
「…………頼むから今煽んないで」
そんなつもりはないけれど、早く欲しいのは事実だ。
奥がむず痒いような切ないような……とにかく疼いて仕方がない。
「でも……はやく、ほし……っ、」
「……っ、」
駄々をこねるようにいやいやと首を振ると少し荒っぽく足を肩に担がれた。
「あ……っ、」
ぴとりと入口に押し当てられ、期待で身体に力が入る。
それを宥めるように腰元を掴んだ手がアツシの身体を撫でた。
「挿れるよ」
「うん……あ……っァ……っ!!」
特に痛くも苦しくもなかった。
ただただ、ようやく満たされたという感情だけが安堵と共に胸の奥に落ちてくる。
嬉しくてロイさんに腕を伸ばすとその手を引いて首元へと回すよう誘われた。
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