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4雨の夜の攻防

雨の降る夜に、亮介の部屋のドアがノックされた。 仁徳学園の寮は完全な個室となっている。20時過ぎの来客にテレビを見ていた涼介は驚く。 たまに寮生同士で集まることはあるが今日は予定が無かったはずだ。 そっとドアを開けるとその先には、雨に打たれた和輝が立っていた。 「どうしたんだ、オマエ」 「いやー、うっかり部屋の鍵を学校に忘れてきちゃってさ」 「何してんだよ」 「明日まで泊めてくんないかな」 「何で俺んとこなんだよ、仲良しの木村がいんじゃん」 「あいついびき凄いんだよ知らない?」 「知らねえよ…」 押し問答を続ける二人。どうもやはり亮介は警戒している。 まあ仕方ないかなと和輝。 (これで上がらせてくれないなら…もう追うのはやめようかな) 雨のせいなのか、少し気弱になった自分に思わず笑いそうだった。 (だけど、もし上がらせてくれたら…) その時は容赦しない、と呟く。 一方の亮介も悩んでいた。 生徒会室での出来事以降、警戒してきたが今まさに運命の分かれ道だと自分でもわかる。 泊まらせたら和輝は間違いなく触れてくる。このままだと和輝の思い通りだ。だけど… 雨の日、鍵を忘れて濡れている和輝をほっとく訳にもいかない、とため息をつく。 (…俺がコイツに負けなきゃいいんだ) 「…入れよ」 ドアを開けて、和輝を迎え入れた。 「はー!サイッコー!」 シャワーを浴びて亮介のスエットに着替えた和輝は大きく背伸びする。 人んちってなんか楽しいよね!とテンション高めになっている。和輝がコンビニで買ってきていたプリンを二人で食べながらテレビを観る。 だいたいプリン二つ買ってきてた、なんてやっぱり計画的なんじゃないのかと亮介はモヤモヤしていた。 24時近くになり、どちらからとなく欠伸が出てきたので寝ることとなった。 ベッドには和輝が、ソファーには亮介が横になる。突然押し掛けたにもかかわらずお客扱いするあたり義理堅いなあと和輝は笑う。 電気を消すと、サアサアと外の雨の音が聞こえた。欠伸が出た割には二人とも眠れない。 亮介は警戒し、和輝はチャンスを伺う。 高校生らしからぬ駆け引きだ。 お互いに眠ってない気配を感じながら時間が過ぎる。 その張り詰めた空気を破ったのは、和輝だ。 「亮介、起きてるよね」 ベッドから出てソファーへ近づく。足音に亮介は目をギュッと瞑った。 足音が止まると、和輝の手が頬に触れてくる。 「寝たふりしても無駄だよ」 「…」 観念してゆっくりと目を開ける。亮介の頬と髪の毛に触れながら和輝が真っ直ぐ観ていた。 自分の顔が赤くなっているのがわかる。 「そんな目をしちゃってさ、この前の、思い出したの?」 「な…!」 ガバッと身体を起こした亮介に和輝は笑う。ほらやっぱり目が覚めてたじゃん、と。 「続き、しようよ。亮介もしたいだろ?」 端正な顔が不意にイヤらしく笑う。 この色気は本当に高校生なのか、と亮介は生唾を呑み込んだ。 (ヤバイ、負ける) 和輝の顔が近づいて、亮介の唇に重なる。 初めてのキスは、優しいものではなく。 「ん…あ…」 隙間から舌を入れてきて絡ませる。少し長い和輝の舌が口の中で暴れる。 それだけでもう亮介は腰が砕けそうになる程の濃密なキス。 「は…」 唇を離し、和輝は亮介のおでこと自分のおでこをあわせる。 「ベッド、使っていいよね?」

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