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6 本当に好きなのは…
(それにしてもやり過ぎだろ)
あれから何度イッただろうか。最後には夜が明けてきて、お互い出るものもなくなるほどだった。
いつもチャラけている和輝の、真剣な顔とイヤらしい顔を思い出して亮介は赤くなる。
横で寝息を立てる和輝を見つめた。
ふと、慎吾のことが頭を過ぎる。
こういう行為を慎吾と出来るか?全く想像できないし、したいとさえ思わなかった。
もしかしたら恋ではなく、単純に可愛かっただけなのかもしれない。弟をみる兄の様な…
そう考えると和輝の方はどうだろう。あの生徒会室での出来事から亮介は明らかに和輝を意識していた。
「…亮介、起きてたの…?」
「わ、悪い。起こしたか。」
ううん、と言いながら和輝は亮介の頬を触る。
「ねぇ、亮介。これでもまだ俺の方を向いてもらえないのかな」
「え…?」
さっきまでの攻めるセックスとは裏腹の気弱な言葉に亮介は思わず吹き出した。
「あのさ亮介。本当はお前を堕とすことだけ、考えてたんだ。だけど、何だろな、もうそれだけじゃなくなってきてるんだ」
「和輝」
「俺を見てよ、亮介」
潤んだ瞳に見つめられ亮介は思わず抱きしめる。
(もう、本当にこいつには…敵わない)
「お前と、一緒にいるよ」
和輝の肩に顔を埋め、亮介がそう呟くと、和輝が一瞬ニヤリと笑う。
(ほら、堕ちた)
まあでももうこのゲームも終わりだなと和輝は思った。何故ならもう自分も、亮介も完璧に惚れてしまっている。
(これからはゲームじゃなくて、恋愛を始めよう)
和輝は亮介の顔を自分の方へ向けて優しくキスをした。
後日。
和輝が生徒会室に用事があるというので二人で部屋に行っていた。
そこで和輝は以前目撃した慎吾の話を亮介に言う。
「へっ、慎吾に彼がいるの」
聞いて亮介は驚いたが特にショックはなかった。
やはり恋ではなかったのかれない。
「ショックじゃないの?」
「別に…なにショック受けてたほうがいい?」
そう切り返してきた亮介に和輝が口を尖らせる。
「もー、気を揉んでやったのがバカみたい」
そんなことよりさあ、と亮介が和輝に近寄る。
「…何?また想い出作りたいの?」
和輝は微笑んで目を閉じ、亮介の唇を待つ。
重ねられた唇に絡め合う舌。ほぼ毎日の濃厚なキスをしているけどいつもドキドキする。
舌を絡めながらも亮介は和輝のシャツを脱がしにかかっていた。
二人きりの生徒会室に、夕陽が差し込んでいた。
【亮介&和輝編 了】
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