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第二数学準備室では過去に何度も事件が起きていた。
それはいじめによる暴力や強姦だったり、親衛隊による所謂制裁だったり。
第二数学準備室とは名ばかりでその室内に物はほぼ置かれていない。
それも数年前まで老年の数学教師が自分の居場所としてこの教室を居心地の良いように使っていたのだが、持病の悪化を理由に退職をしたのをきっかけにこの部屋が使われることはなくなったのだ。
それ以降人が寄り付かなくなったこの教室は、悪だくみを考える輩にいいように使われるようになった。
それをついに、先ほど常盤が言った通り、空き教室の扱いについての議題が年末の会議に上がり、使用していない教室には必ず施錠をする事や、また鍵を作り変えるなどの対処法が決められた。
それ以降は空き教室を利用した事件の数はぐんと減ったのだが。
「……」
第二数学準備室の室名札を見上げて確認する、ついた、ここだ。
迷うことなく、閉じられた扉に手を掛けて引くがやはり予想していた通り、それは引っかかって開かない。
案の定、鍵がかかっている。
扉に耳を近づけて澄ますが中からは声どころか物音ひとつ聞こえない。
しかしスモーク加工された窓からは室内の明かりが漏れている。ということは中に誰かいるということだ。
確信に小さく息を吸い込んで扉をノックした、
「生徒会だ。中に誰かいるのか」
耳を澄ます。応えはない。
常盤からマスターキーを預かってきて正解だったな。
常盤から受け取った鍵を扉に差し込んで時計回りに回すと内側からカチ、と錠が外れる音がした。
そして、それと同時に微かに息を飲む音も。
空気が張り詰める。こういうのは風紀に任せて来たから、なんともやりづらい。
そもそも俺たち生徒会の専門は書類整理だ。
だからといって見て見ぬ振りは出来ないし、今更ぐじぐじしても仕方のないことなのだけれど。
珍しく感じてる緊張から息を飲んで、そして扉を開いた。
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