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このランキング上位者というのがくせ者で、当たり前だけど揃いも揃って美形揃い、しかも何故だか家柄もいい。それは金持ちに美女が群がるのは当然の数式で、その美女から生まれた子息が美形なのも当たり前だからなんだろう。
(……だから金持ちって美形が多いのか)
そこそこ金持ちの家に生まれたくせに平凡顔の俺は、思わずそんなことを考える。
この総選挙で選ばれた副会長以下、庶務までのメンバーはいい意味で世間知らずでカリスマ性を持った生徒が多く、その分、プライドも人一倍強い。そんなメンバーを統一する力が俺にあるわけがなく、
『……帰る』
当然のように俺は、初日からやらかしてしまった。
やばい。もう22時を過ぎたのか。門限までには帰らないと。
(……はあ、やっぱ寮に持ち帰ってやるしかないか)
もう何杯目なのかわからないブラック珈琲を一気に胃の中に流し込むと、後処理をしてノートパソコンを閉じた。
誰もいない生徒会室はシンと静まり返り、アナログ時計の針音だけがやけに大きく聞こえる。校舎を後にして、寮の自分の部屋までは徒歩で20分ほど掛かる。電気を落として窓の戸締まりを確認して、俺は生徒会室を後にした。
因みに出入口のドアはオートロックになっていて、わざわざ施錠する必要はない。
(はあ……、疲れた)
無意識に首を捻るとボキボキと嫌な音がする。
階段に差し掛かったところで、警備員さんの姿が見えた。俺がようやく生徒会室を後にしたからか、心なしか嬉しそうな警備員さんと軽く会釈をして擦れ違う。
4月に入ったとは言っても、まだまだ夜は肌寒かった。少し早足になりながら帰路を急ぐ。急ぎの分はなんとか終わったけど、もう少し処理した方が後で楽だろう。
皆に謝ろうかな……いや、でも、謝るようなことは何もしていない。
わざとリコールされるように仕事を丸投げしたら他のメンバーは万々歳なんだろうけど、俺を選んでくれた橘先輩に申し訳ないし、任された仕事を途中で放棄するのは嫌だ。
こう見えて学年首席で去年は生徒会補佐も経験した俺だけど、実は極度の人見知りの上に人付合いが苦手で物心ついた頃から友達らしい友達がいたことがない。
何もすることがないから勉強をする。勉強をするから成績が上がる。結果、去年は前会長の橘 先輩に見初めてもらって生徒会の補佐役も任された。
必然的に新会長にも任命されて今に至っている。
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