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 唯一俺に話し掛けてくれる会長が選んでくれたんだから、出来れば期待に応えたかった。だけど、正直俺は会長の器じゃない。  会長なんて俺には無理だ。本音を言えば、辞退出来るならしたかった。正直、他のメンバー達にどう接したらいいのかもわからないんだから。  前会長の橘先輩は、他のメンバーを統率出来る人だった。家柄も頭一つ抜きん出ていて見た目も凛々しく、カリスマ的人気を誇る人だ。三年生の抱かれたいランキングの上位にも入ってるんじゃないかな。  橘先輩は三年生になって引退してしまうのが惜しいぐらいの人で、存続を願う嘆願書が出回ったほどだった。そんなこともあり、俺が会長に任命された時は辺りがざわついた。  それは存続を願う先輩に代わって任命された俺が、殆ど無名の人間だったからだろう。  何より生徒会の役員連中は全校生徒に知れているが、補佐役は生徒会長から任命されるも、人気のある生徒じゃないと全校生徒からは覚えて貰えない。きっと俺が一年生トップの成績だったことも、それで補佐役を勤めていたことを知っている生徒もいないだろう。  恐らくは他のメンバーもそうで、だから、そんなどこの馬の骨ともわからない俺からの命令じみた発言に我慢出来きなくてボイコットしてしまったんだと思う。だからと言って、俺が橘先輩のように上手く執り成せるはずがない。  真似をしようとしても無理だ。なんせ相手の顔を見て話せないし、上手く言い繕うなんて人付き合いが苦手な俺には無理な相談だ。  寮に着いたのは22時半過ぎ。なんとか門限には間に合った。  23時に一応は表ゲートが閉門されるから、それが門限になっている。門限に遅れそうなら遅れる旨を寮長に伝えればいいし、門限に遅れても反省文を書かされるだけで寮には入れて貰えるんだけど。  一路、学生寮の一番奥にある特別棟へと向かう。思えば、特別棟の最上階にある生徒会役員の部屋が学校から一番遠い。  特別棟は将来を約束された生徒や生徒会、風紀委員の主要メンバーが住まう一人部屋になっている。その特別棟の中でも最上階の1フロアまるまるが生徒会メンバーのもので、エレベーターで最上階まで上がってみると、セキュリティ万全なそのフロアは学校の校舎よりもシンと静まり返っていた。

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