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06
おそらく先輩は、俺以外のメンバーがボイコットしていることに気付いているだろう。
「そ、か。うん。だけど何かあったらいつでも頼って欲しい。いいね?」
先輩はそう言って、また頭をポンとしてくれた。先輩には申し訳ないけど、先輩に迷惑はかけられない。ようやく先輩の任期は終わったのに、後輩のごたごたに先輩を巻き込むわけにはいかない。
(……――――)
その時、ちょうど予鈴が鳴り、なんとか話はそこで終わった。
「ちょっと急ごうか」
「はい」
少し足早になりながら、俺と先輩はそれぞれの教室に向かう。案の定他のメンバーが来ることはなく、これからどうやってごまかして行こうかと悩む。
って言うかさ。本当はごまかすだけじゃだめなんだけどさ。やっぱ、俺一人じゃだめだから。全員揃っての生徒会執行部なんだから。
だからと言って頭を下げて戻って来て貰うのは違うし、なんとか俺の気持ちをわかって貰いたい。
正直、俺も人気投票で決まったメンバーだって小ばかにしていたところもあったのかも知れない。だけど人気があるってことはそれだけ影響力もあるってことで、メンバー全員がきちんと仕事をすれば無敵の生徒会になるはずだ。
俺一人が熟せるのはせいぜいが情報処理や事務処理だけで、運営していくのには影響力のある皆の力が必要だ。
「じゃあね、頑張って」
「あ、はい。ありがとうございます」
先輩と別れて教室に向かう間中、俺はどうしたらいいのか、ずっとそればかり考えていた。
急ぐこと数分、
「はあ、なんとか間に合った……」
自分の席に座った瞬間、本鈴が鳴る。俺の席は窓際の一番後ろの席で、なんとなくドアを眺めたら執行部メンバーの中で唯一、同じクラスの日向 が教室に入って来たところだった。
基本的に日向は、教室でも俺と目を合わさない。そもそも俺も生徒会のいざこざ以前に人見知りだから、ついつい目を逸らしてしまうんだけどね。意図して逸らしてしまう俺とは違い、日向は俺なんか目に入れたくないといったところなんだろう。
簡単な朝のショートホームルームが終わると直ぐに一時間目の授業が始まる。生徒会の仕事に追われる俺にとって、授業中と休み時間だけが通常の勉強が出来る時間だ。
昼休みと放課後は生徒会の仕事に追われて、課題を熟す時間もない。やっぱりだめだよな。これじゃ。
自分が勉強する時間がないからと言う理由以前に、これはどうにかしなきゃいけない問題だ。
「ここはテストに出すぞー」
先生の言葉を一言一句、漏らさすことなく脳内に刻みながら、俺は授業中と休み時間以外に開く暇もないノートに重点を書き留めていった。
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