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 高等部にはノーマルな体育館が三つあり、球技大会ではバレーボール、バスケットボール、卓球、それぞれの試合会場になる。練習会場も当日に試合会場となる体育館を使うことになっていて、バレーの練習場所は一番大きな第三体育館だ。  第三体育館は三つのうちで一番新しい体育館で、数年前に老朽化で取り壊された第一体育館の代わりに建てられた。それにより第二体育館が第一体育館となり、第三が第二へと繰り上げられた。  まだ真新しい体育館は空調はもちろん最新の設備が充実していて、体育館全体が見渡せる観覧席の壁一面には大型モニターが取り付けてあり、球場やオリンピック会場さながらの充実ぶりだ。ちなみにうちには所謂(いわゆる)道場も三つあって、毎年、秋には球技大会ならぬ武道大会も催されている。  うちの第三体育館は高校総体なんかの公式試合会場としても使われていて、テレビカメラが撮影したものがリアルタイムに大型モニターに映し出され、ハイライトシーンはリプレイされたりとテレビ中継さながらのシーンが見られるようになっている。  もちろん実際のテレビ中継にも使われていて、そんなこともあり、近年は室内スポーツも盛り上がり、うちの学校は私立の金持ち校の割にそれなりの強豪校だ。  それはさておき、第三体育館に向かっているのは俺と鷹司、それに橘の三人で、あまり馴れ合わないメンバーだけに気まずい雰囲気が漂っていたり。特に鷹司と橘は公私共に認める犬猿の仲ってやつで、 「…………」 さっきからずっとお互いに顔を背けて無言のままだ。  嫌なら別々に行きゃいいのに。そうは思うもこの二人は、いがみ合いつつも何故かいつも一緒にいたりするんだよな。 「きゃー! 鷹司様だぁ!」 「うそっ。橘様も一緒じゃん!」  体育館へと行く道すがら、そんな風にあちこちから黄色い歓声が上がった。それもそのはず、俺を挟んで高等部の抱かれたいランキングの2トップが揃って廊下を歩いてるんだから。  言ってみれば、廊下がレッドカーペットのようなもんか。 「わ、会長様も一緒だ!」  二人への歓声に混じり、たまにこんな声も聞こえて来るが。俺も前よりは注目されてるようだけど、俺に直接声をかけてくるような奇特な生徒は滅多にいない。 「確かお三方ともバレーだよね?」 「わ。これから練習かな。見学に行っちゃう?」  いつの間にか俺達の後ろには行列が出来ていて、やっと着いた第三体育館には、溢れんばかりの見学者の他に、報道部のテレビカメラまでもが待機していた。

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