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5月 和樹、チャラ男くんと出逢う
「あっ!」
にゃんこ様がなぁに? という顔で俺を見てくる。
俺がその名を告げようとしたとき、本日三度目である背後からの接触を受けた。
「こてつ!」
「……こてつ?」
振り返った先にいたのは、金髪カラコンのチャラ男くんでした。
「うちのこてつがどーかした?」
「何でもないけど……え、この子あんたの?」
すると彼は口元に人差し指を添え、内緒だよと言った。
「最近見かけてさ、ご飯あげたら懐いちゃったんだよー」
「うわ~羨ましいわ、それ!」
「だから内緒って言ったでしょ。ふたりだけの秘密……なんてね」
チャラ男くんは、はにかんだ顔で笑い、その視線をにゃんこ様に向ける。その深緑の目は優しそうで、俺は一目で彼も同類だということがわかった。
「この子、こてつってゆーの?」
「そだよ。俺の知り合いに似てるヤツがいてね、彼にそっくりなんだー。だから『こてつ』」
俺はそれを聞いて確信した。
「確かにキラキラ王子そっくりだわ」
「でしょ。あ、俺は2Aの久世風雅。好きなように呼んで」
「フウガってどんな字書くの?」
ピンとこなかった俺は、彼に聞いてみた。
「『風』に『雅』で風雅。カッコイイっしょ」
「あんまし和風なイメージないよな、久世ちゃんは」
「んなの見た目見た目。君は和樹だろ?」
「どこでそれを?」
久世ちゃんは、決まってんじゃんと前置きしてから答えた。
「例のキラキラ王子からだよ」
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