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5月 和樹、にゃんこ様に出逢う
「にゃ~ん」
植えこみから現れたのは――猫。
白地に黒や茶色模様を背負ってる、白錆と呼ばれる柄の猫。
そしてそれは、俺がこの世で一番好きな生き物である。
「うっそー! こんな所でにゃんこ様に会えるとはー! 今日はツイてるぞー!」
「にゃお~ん!」
にゃんこ様は俺の足にすり寄ってきて、もふもふの毛並みをアピールしてくる。その姿は最早悪意を感じるレベルだ。
「野良なのかなー。それとも迷子?」
自分で言っておいて、それは無いと気づいた。なぜならここは学校の敷地内であって、決して近所の公園などではないのだ。
「あ、写真写真」
俺の密かな楽しみ、それは出会ったにゃんこ様を写真に収めること。
さぁて、どのアングルで撮ってやろうか……。
だがケータイを取り出した俺は、ある重大な事実に気づいてしまった。
「てか壊れてんじゃん、これ!」
思わずケータイを放り投げかけたが、にゃんこ様の目の前だということを思い出して、その手を止める。
彼女(彼かな?)は、その愛らしい大きな目を潤ませて俺を見てくる。
くそぅ、首を傾げるんじゃねーよ! 可愛いだろうが!
それにしても、この距離で逃げ出さないにゃんこ様は珍しい。試しに抱っこしてみたが、それは嫌だったようで、スルリと俺の腕から飛び降りた。
しかし未だその場に留まり、こちらにアピールしてくる。
何だこいつ、俺をからかって遊んでるのか? 人間なら嫌いなタイプだが、にゃんこ様だとなぜ許せてしまうのか……。
俺はその可愛らしい姿を眺めているうちに、あることに気づいた。
「君、誰かに似てるよーな気がするんだよね」
私可愛いでしょと言わんばかりのアピール、俺をからかう態度、どっかで会った気がするんだよなー。
俺はこれまで出会った人物を振り返る。答えはすぐに見つかった。
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