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5月 宮崎翼

 宮崎翼(みやざき つばさ)は出会ったばかりの彼を思い、口元を緩める。  瀬川和樹は噂に聞いた通りの生徒だった。彼のことだから、自分の携帯が使えない理由も、よくわかっていないのだろう。まぁ、俺も人のことは言えないが。  あの様子だと、野村へ連絡を取るまでに時間がかかりそうだと判断した翼は、彼に電話をしてその旨を伝えた。野村は了解とだけ返し、すぐに通話を終えた。  もうひとり、これらを報告しなければならない人物がいる。  翼は彼の番号をテンキーで打ちこみ、発信ボタンを押す。登録云々よりも、直接打ちこむ方が楽だからだ。相手はすぐに出た。 『見つかった?』 「藤田が拾ったものを、俺が瀬川に届けた。すぐに戻る」 『待ってるよ』  電話ではそう言っても、実際には居場所を掴ませない男。それが北村秀一だった。

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