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5月 和樹、探し物発見!
「探し物はこれ?」
俺が振り返ると、そこには黒縁メガネをかけた、これまた背の高い人が立っていた。
おっと、この人もバ会長と同じ三年のようだ――って。
「俺のケータイ!」
俺は思わずその人の手からケータイを奪い取り、まじまじと眺めた。この傷の掠れ具合――間違いなく俺のケータイだ。
「ありがとうございます! どこにあったんですか?」
「拾ったのは俺じゃない。悪いな」
「そうなんですか。じゃあ、その人にありがとうって伝えといてください」
その人は軽く微笑んで頷いた。とても優しそうな笑顔だ。
俺は早速電源を入れ――入れ……あれ?
「つかない……」
「どうかしたのか?」
「いや、電源が入んないんですよ。壊れたのかな」
「野村に聞いてみたらどうだ」
「ノムさんスか?」
まさかあの寮長が? とも思ったが、ケータイのことを色々やってくれたのはノムさんだ。意外とそういうのに詳しいのかもしれない。
「じゃ、ノムさんに聞いてみますね。色々ありがとうございます、えーっと」
「宮崎だ」
「宮崎先輩ありがとうございます!」
「また何かあれば言ってくれ」
そう言うと、宮崎先輩はどこかに行ってしまった。
何というか宮崎先輩って――。
「まともな人だなー」
アクの強い人が多い中で、久しぶりにまともな人に出会うことができた。ケータイも見つかったし、いいことだらけだ。
俺はベンチに座り、歩き回って疲れた足を休めることにした。
しかし、またもや背後に何かの気配を感じる。何やら植え込みの向こうから、ガサガサと音が聞こえるのだ。物音が気になってそのまま様子を見ると、ついにそれは姿を現した。
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