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6月 和樹、豆柴くんに出会う

 会議終了後、俺は仏頂面の千葉の元へ向かった。冷やかしてやろうと思ったのだが、今日は珍しく先客がいた。  てか、千葉が誰かと話してるところは、非常にレアだ。  近くまで行ってみると、先客の正体は一年生であるとわかった。  きっちりとネクタイを締めた、そばかすが可愛らしいヤツだ。  そして俺よりも背が低い。これ重要。レアキャラである。  彼も俺に気づき、挨拶をした。 「お疲れさまです!」 「お……お疲れ」  何だ、この……こそばゆい感じは……。  そばかす君の声で、千葉も俺の存在に気づいた。この鈍感男め。 「よぉ、風紀委員の瀬川じゃねーか。会議中寝てなかったか?」 「あらら、2B代表の千葉サンではありませんか。お仕事は、もう終わったんですかぁ?」 「代表とか言うなよ。ムカつくな」 「うるせぇ今日は起きてたぞ。こわーい委員長サマの手前、そんなことしねぇよ!」  何だ千葉、ご機嫌じゃねーか。お前の仏頂面は通常装備なのか。 「あの……陽平さん」 「どうした?」  そばかす君が千葉に声をかけつつ、上目遣いで俺を見てくる。  俺、見下ろされる時のが多いから、こんな体験滅多にない。口元がにやけそうだ。 「こちらの方は……?」 「あぁ俺? 2Bの瀬川和樹。風紀委員会ヒラと、千葉の同室者やってまーす!」 「和樹さんですね。僕は1Bの岸本睦月(きしもと むつき)です」 「睦月か……むっちゃんって呼んでいい?」 「はい! お好きなようにどうぞ!」  むっちゃんはニコっと笑ってくれた。  何なんだ、この豆柴感。にゃんこ派の俺だが、こんな豆柴ならワシャワシャしたい願望が湧き出てくる。

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