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6月 和樹、封筒を見つける
それからまた数日が経ち、そろそろ七月に入ろうとしていた。
梅雨明けの発表はまだだけど暑い日が増えていて、朝起きたときに汗びっしょりって日もあるくらいだ。
だがそんな寝苦しい日でも俺は寝坊したらしい。
「ったく、千葉も起こしてくれたらいいのに……」
ブツブツと文句を言いながら制服に着替えた俺は、のんびりと行く支度をする。どうせ遅刻なら急いだってムダだからな。
「つーかそろそろテストじゃん。めんどくせー」
すっかり忘れてたが、あと二週間後に期末テストが迫ってる。
「追試ヤダなー」
はーっとため息をつき準備を終えた俺は、部屋を出るべく扉へと足を向けた。ドアノブに手をかけ扉を引いたそのとき、足元にある何かに気づいた。
「何だこれ?」
それは真っ白な封筒だった。差出人の名前はなく、宛名は俺になっている。プリントされた文字では誰が書いたものなのかわからない。でも俺はその手のものに覚えがあった。
「またノムさんかな」
たしか新歓の何かのアンケートもこんな感じだった気がする。あまり深く考えずに、俺は封を開けて中の手紙を見た。
「は?」
最初は意味がわからなかった。
だが何度も読み返すうちに、それが俺に宛てたものだということを思い出した途端、ゾクリと背筋が凍った。
「……気持ちワリー」
俺は手紙を封筒に戻すと、自室に引き返して机の引き出しにしまった。ごみ箱に捨てなかったのは、何となく気味が悪かったからだ。絶対に見られたくなんかない。
ひとまず俺は、この手紙の存在を忘れることにした。
「――授業出ないと」
俺は何かから逃げるように部屋を飛び出し、校舎へと向かった。
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