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第6話

 『お勉強』の指定場所は、図書館だった。中でも、『古典』もしくは『英文学』のエリアが加瀬のお気に入りらしかった。  確かに人気もあまりなく、窓の無い無機質な空気はどこか加瀬に似合っていた。  加瀬は普段コロンを付けない。だが、知っていた。加瀬が学校には隠して香水をつけていることを。  衣服から零れ落ちるように、薫るムスクの香り。こちらが気付くと、加瀬は白を切るようにどこかを見た。  残り香ではなく、いつかその肌に直接触れて確かめたいと、亮はいつも思っていた。  指定された場所へ行くと、すでに加瀬はいた。加瀬の長い脚には低すぎる椅子に腰かけ、本を読んでいた。 「お待たせ。…レイ」  亮は、加瀬の隣の椅子を引き下げると、椅子ではなく机に腰を掛けた。加瀬は、返事をすることなく、僅かに上目に流し見るように亮をみた。  そして、唇を舐めた。いつものように。  亮は、足を大きく開いて加瀬に背中を向けると、背中で両肘を掴んで突き出した。  黙って、加瀬は鋲打ちされたベルトを腰から取り外すと、慣れた手つきで背中を向けた亮の腕を動かないように拘束する。きつく締めると、亮は苦し気に吐息を漏らした。 「息、上がってるぜ?」 「レイだって、もう興奮してる。いつもより、キツイ。なにか、あったの」  加瀬は、その言葉に何も応えずに、机に腰かけたままジーンズからペニスを引き出した。  床に膝をつき、亮は目の前にあるペニスを見ると、上目使いで加瀬を見た。  見下ろす加瀬の瞳が、細められる。 「どうした?いらないのか」 「欲しい。早く、僕を犯してほしい」 「だったら、クダサイしろよ。いつもみたいに」  亮は頷くと、大きく口を開き、加瀬のペニスを頬張った。加瀬は、髪を乱雑に掴むとその口の奥、喉に押し込むように腰を動かした。 「…ッ、ゴホ…ッ」  苦し気に咳込んだ亮が、濡れた目で加瀬を見上げる。加瀬は、歪めた唇を舐めた。 「ホラ、気を抜くんじゃねえよ。いらないのか?」  亮は必死で咥えたペニスを啜り上げる。怒張したペニスは亮の喉奥を突き上げ、亮は息苦しさと共に背筋を駆け上がる快感を感じた。 「イキそうな顔しやがって。早ェんだよ」  そう言って加瀬は亮の咥内からペニスを引き抜くと、亮の胸倉を掴み立たせ、机に押し倒した。

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