7 / 15

第7話

樹が僕を避けるようになってから……みんなとも連まなくなって。 僕も、四人じゃ何か違うなって感じてて。 みんなから離れる事が多くなっていた。 「なぁ、愛月(あき)。次の土曜日、みんなで遊園地行こうぜ!」 東生が気安く話し掛けてくる。 ヘラヘラしながら、何事もなかったかのように僕の背中を叩き、肩に肘まで掛けて。 「……いいよ。面倒くさい」 「んな事言うなって。樹も誘うからさ。 ……てかお前ら、何で喧嘩してんの?」 カチンッ!! その瞬間──血という血が末端から逆流し、脳の血管がブチ切れそうになる。 乱れる呼吸を抑え、東生を横目で睨む。 「ほら、仲直りするチャンスだろ……? ──だから、絶対来いよ」 耳元で囁かれた後、悪意のない笑顔を向けられる。 それが堪らなく、腹が立つ。 『お前らの為にセッティングしてやったんだぜ』──そう言われているような気がして。 遊園地当日。 快晴の空の下、はしゃぐ皆とは対照的に、僕の心だけが晴れなかった。 樹は、確かに来た。 相変わらず爽やかな笑顔を振り撒き、物腰柔らかく皆に接する姿も、以前の樹と同じ。 だけど、僕に対しては違っていて。一定の距離を置かれ、何となく避けられていた。 「……」 樹が来るっていうから……参加したのに。 真奈美と肩を並べ、楽しげに話す樹。 その背後を追い掛けながら、恨めしそうに二人を見つめた。 少し前までは……僕が樹の隣だったのに。 ……何で…… 「……樹っ!」 堪らず声を掛ける。 立ち止まり、振り返った樹が一瞬だけ驚いた顔をした。僕と目が合えば、その表情は直ぐに崩され、優しい笑みへと変わる。 それは真奈美も同じで。 二人に見つめられた僕は、次の言葉が中々出て来ない。 「………飲みもん、買いに行こうぜ」 「うん。……いいよ」 穏やかで、柔らかい声。 樹の返事に、心底ホッとする。 もしかしたら、はぐらかされるんじゃないかと思っていたから。 「城崎さんも、行く?」 「……うんっ。行く行く!」 ──え 優しげな瞳が、直ぐに真奈美へと向けられる。 その光景に、脳内が真っ白になる。 「……」 「あー。じゃあ俺、コーラな。……愛咲は?」 「えっとぉ、私は……」 近くにいた東生と愛咲が、すかさず会話に混ざってくる。 「……」 なん、だよ…… 以前の樹なら、僕と二人で抜けたじゃん…… そんなに、嫌なのかよ。 あの時東生が、あんな事言ったから……?

ともだちにシェアしよう!