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第7話
樹が僕を避けるようになってから……みんなとも連まなくなって。
僕も、四人じゃ何か違うなって感じてて。
みんなから離れる事が多くなっていた。
「なぁ、愛月 。次の土曜日、みんなで遊園地行こうぜ!」
東生が気安く話し掛けてくる。
ヘラヘラしながら、何事もなかったかのように僕の背中を叩き、肩に肘まで掛けて。
「……いいよ。面倒くさい」
「んな事言うなって。樹も誘うからさ。
……てかお前ら、何で喧嘩してんの?」
カチンッ!!
その瞬間──血という血が末端から逆流し、脳の血管がブチ切れそうになる。
乱れる呼吸を抑え、東生を横目で睨む。
「ほら、仲直りするチャンスだろ……?
──だから、絶対来いよ」
耳元で囁かれた後、悪意のない笑顔を向けられる。
それが堪らなく、腹が立つ。
『お前らの為にセッティングしてやったんだぜ』──そう言われているような気がして。
遊園地当日。
快晴の空の下、はしゃぐ皆とは対照的に、僕の心だけが晴れなかった。
樹は、確かに来た。
相変わらず爽やかな笑顔を振り撒き、物腰柔らかく皆に接する姿も、以前の樹と同じ。
だけど、僕に対しては違っていて。一定の距離を置かれ、何となく避けられていた。
「……」
樹が来るっていうから……参加したのに。
真奈美と肩を並べ、楽しげに話す樹。
その背後を追い掛けながら、恨めしそうに二人を見つめた。
少し前までは……僕が樹の隣だったのに。
……何で……
「……樹っ!」
堪らず声を掛ける。
立ち止まり、振り返った樹が一瞬だけ驚いた顔をした。僕と目が合えば、その表情は直ぐに崩され、優しい笑みへと変わる。
それは真奈美も同じで。
二人に見つめられた僕は、次の言葉が中々出て来ない。
「………飲みもん、買いに行こうぜ」
「うん。……いいよ」
穏やかで、柔らかい声。
樹の返事に、心底ホッとする。
もしかしたら、はぐらかされるんじゃないかと思っていたから。
「城崎さんも、行く?」
「……うんっ。行く行く!」
──え
優しげな瞳が、直ぐに真奈美へと向けられる。
その光景に、脳内が真っ白になる。
「……」
「あー。じゃあ俺、コーラな。……愛咲は?」
「えっとぉ、私は……」
近くにいた東生と愛咲が、すかさず会話に混ざってくる。
「……」
なん、だよ……
以前の樹なら、僕と二人で抜けたじゃん……
そんなに、嫌なのかよ。
あの時東生が、あんな事言ったから……?
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