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第1話

それは、突然だった。 僕の鼓膜が、懐かしい声に震え──身体を、心を、一瞬で熱くする。 「……愛月(あき)」 もう二度と、聞く事はないと思っていた。低くて、物腰の柔らかい口調。 見なくても解る。 この声は──樹だ。

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