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第1話

 唐突ではありますが――鬼ヶ島は、制圧されました。  人々が住む都……そこから更に、海の向こう。人の目で何とか視認できる程遠いところに浮かぶ島こそが【鬼ヶ島】です。そしてその島に住む生き物を、都の人々は『鬼』と呼びました。  噂では……額から角が生えていたり、肌の色が青や赤や黄だったり、人間よりも大柄だったり小柄だったりと、散々です。  けれど……実際は違いました。  ――海の向こうに住む【鬼】は、人だったのです。  それを都の人々は鬼だなんだと騒ぎ立て、あることないこと噂をし、最終的には悪の権化に仕立て上げたのでした。  目的は至って単純。鬼ヶ島にある財宝を根こそぎ奪う為。  そんなこんなで、鬼ヶ島の財宝強奪――もとい、鬼の討伐を目的とした旅の一行が現れました。皆様ご存知、桃太郎と愉快なお供達です。犬、雉、猿ですね。  悪逆非道な鬼を退治するという大義名分を抱え、桃太郎達は鬼ヶ島を制圧したのです。  ――え? 話はこれで終わってしまうだろう、ですって?  いいえ、いいえ。とんでもありません。何を隠そう……これはただの、前座なのです。  この物語は、桃太郎が鬼を退治した【後】の、素敵な恋物語なんですから。

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