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第17話
ジークside
部屋を出ると、俺は大きくため息をついた。
あんな状態のトーマを放っておくのも気が退けたが、あのまま一緒に居たら襲ってしまいそうだった。
紅潮した頬に潤んだ瞳、繰り返される甘さを含んだ吐息。
トーマの全てが俺を駆り立てた。
俺は胸を押さえる。
こんな気持ちは初めてだ…………
トーマを初めて見たとき、変わった感じのトーマに興味を持った。
珍しい髪色、見たこともない衣服、知らない場所に居ると言っていたにも関わらず、焦りもせず落ち着いた感じ。
中でも一番惹かれたのは瞳だった。
前髪とメガネに隠れて見え辛いけど、時折その隙間から見える黒にもグレーにも見える瞳。
俺はいつしかその瞳をちゃんと見たいと思った。
しばらくしてトーマがいる部屋まで戻ってきた。
あれから結構な時間が経ってる。さすがに落ち着いただろう。
そう思って、俺は部屋のドアを開けた。
ドアを開けた瞬間、ブワッと強力な魔力が溢れ出した。
「なっ!?」
なんだ、この魔力は!?
「トーマ!?」
俺はトーマの元に駆け寄った。
トーマはベッドの上で丸まっていた。
トーマの体にそっと触れると、トーマの体がビクンと跳ねる。
その時のトーマの体は驚くほど熱かった。
「トーマ、自分で処理しなかったのか?」
トーマの体には魔力が放出されずに溜まっていて、既に爆発寸前だ。
「……自分で…でき……ない……」
朦朧とした意識の中で、トーマが俺の質問に答えた。
………もう意識も飛びかけてる。これ以上は無理だ。
「トーマ、すまない。少し我慢してくれ」
そう言って俺は、トーマの体に触れた。
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