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第16話
何だろう。
さっきから頭がすごくフワフワする。
それに何だか気持ちいい。
そう思って、僕はうっすらと目を開けた。
頭がぼんやりとして、上手く考えられない。
「…んっ……ふぅ…」
何だろう、声?
誰か居るのかな?
そう思った瞬間、体に電流が走ったみたいな刺激を感じた。
「んぅ!?」
体が痺れて震える。
何!?今の?
僕は訳が分からなくてパニックになる。
でもその刺激でぼんやりしていた頭がはっきりしてきた。
そうすると、視界も開けてくる。
開けた視界に入ってきたのは、ジークさんの顔だった。
え!?え!?どういうこと!?
何でジークさんの顔が目の前にあるの!?
「んんー!?」
ジークさんに話しかけようとすると、口が何かに塞がれているようで上手く話せない。
え!?僕、今なにされてるの!?
僕は訳が分からず、目の前のジークさんをポンポンと叩いた。
そうすると、口を塞いでいた何かが離れた。
それと同時にジークさんも離れていく。
僕はパニクる頭で必死に考えた。
ジークさんの顔が目の前にあって、口が何かに塞がれて……
口を塞いでいた何かが離れると同時にジークさんの顔も離れて?……って、どういうこと!?
「良かった、気が付いたみたいだな」
そう言ってジークさんはホッと息を吐いて僕を見下ろす。
「気分はどうだ?」
そう言ってジークさんが僕の頬に触れた。
その瞬間ゾクッとした感覚が体を走って、思わず体が揺れた。
なにこれ!?
ジークさんに触れられる度にゾクゾクして、心臓がバクバクいって壊れそう。
「やはりまだ足りないか」
ジークさんがそう呟く。
「……なに?」
僕は訳が分からなくて首を傾げた。
「トーマ、お前は『ディスナー』だ」
「………ディスナー?」
って何?
「ディスナーとは、自然界に存在している魔力を体内に溜め込んでしまう能力を持つ者の事を言う。詰め込んだ魔力は発散させてやらないといけない」
「………発散」
どうやって?
そう思って、僕はジークさんを見る。
そうするとジークさんは何か言い辛そうにする。
「……魔力を発散させるには、欲を体外に出す必要があるんだ」
ジークさんは咳払いをしながらそう言う。
「……欲?」
「……つまり、性的刺激による絶頂を迎えることで魔力を外に出すんだ」
欲ってその欲!?
なにそれ!?どんなエロゲー設定!?
「ほ、ほかに方法は?」
そう聞くと、ジークさんは考え出す。
「他の方法は聞いたことがない。応急措置の方法はあるが……」
そう言って、ジークさんが僕の唇に触れた。
僕はさっきジークさんにキスをされてた事を思い出して慌てて口を押さえた。
「ディスナーは魔力を体内に貯めて、閨事をすることでその相手に魔力を与える能力がある」
閨事って、それってセッ!?セッ!?
「ディスナーは女性特有のものだと思っていたが、まさか男性のディスナーも居たとは……」
本来は女の人だけなんだ……じゃあ、なんで僕が…?
そんな事を考えていると、また頭がクラクラしてくる。
体が熱くなってきた…それに……
僕は下半身の違和感にモジモジと体をくねらせた。
「すまない 、長々と話してしまって。そのままでは体が辛いだろう?ディスナーは魔力が体内に貯まると、発情状態になるんだ」
だからホント何!?その設定!!
「俺は出ていくから処理をすると良い」
そう言ってジークさんが僕の頬に触れる。
その感触に体にゾクゾクと甘い痺れが走る。
ジークさんはそのまま、部屋を出ていってしまった。
処理って、自分でしろってことだよね。
僕、一人でもあまりしたことないのに……
僕は突然訳の分からない事になって、どうしたら良いのか分からなくて、涙が出た。
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