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第15話
ジークside
トーマを部屋に運ぶとベッドに寝かせた。
どうして急に?さっきまで普通にしていたのに。
そう思ってトーマに触れると、トーマの体はやはり熱い。
何か突発性の病か…………いや、なんだこれは?トーマから魔力を感じる。トーマは魔力を持ってなかった筈だ。なのにどうして?
「ジーク様!!」
そんな事を考えていると、カノエが部屋に飛び込んできた。
「カノエ!小水晶を持ってこい!」
そう言うと、カノエが驚いた顔をする。
「え?」
「トーマから魔力を感じる」
「トーマくんから!?でもトーマくんは魔力が………っ!!分かりました、今すぐ持ってきます!」
カノエも察したようで、直ぐに走っていった。
この世界ではごく稀に魔力を持たない者が魔力を宿すという現象が起きる者が居る。
『ディスナー』
自身が魔力を持たない変わりに、周囲の自然の魔力を体内に取り込んでしまう。
まさかトーマはディスナーなのか?
そんな事を考えていると、カノエが小水晶を持って帰って来た。
「お待たせしました」
そう言って小水晶を渡す。俺はそれを受けとるとトーマに握らせた。
トーマに握らせた瞬間、小水晶が強い光を放った。
「……こんな強い光は初めてだ」
「ジーク様、これは……」
「あぁ、早く処置しないとトーマの体が持たない」
「治療師を呼んで来ます」
「……いや、俺が処置する」
そう言うと、カノエが驚いていた顔をした。
「で、ですが、相手は男性ですよ!?ジーク様自ら処置なんて……」
「意識が無いところを見ると、恐らくトーマは限界だ。治療師を待ってる余裕はない、俺がトーマの魔力を吸収する。しばらくこの部屋には誰も近付けるな。カノエも俺が呼ぶまで別室で待機だ」
そう言うと、カノエが顔をしかめる。
「………畏まりました」
しばらく沈黙した後、カノエは頭を下げて部屋を出ていった。
カノエが出ていった後、俺は意識の無いトーマに触れた。
ディスナーの処置は、普通なら治療師の役目。
男のディスナーは珍しいが、治療師なら偏見なく処置するだろう。
俺はそっとトーマの唇に触れて指を這わせる。
何故か治療師がトーマに触れると思ったら、無性に腹が立った。
何なんだろうな、この気持ちは……
そんな事を考えながら、俺はトーマの顔にそっと自分の顔を近付けた。
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