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第14話

ジークside アルバの森で出会った少年は、なんとも不思議な雰囲気の少年だった。 その少年は珍しい黒髪に見たことのない衣服を身に付けていた。 話しかけるとたどたどしくも答えてくれた。 その少年は『トーマ』と名乗る。 トーマは気弱ではあるけど、興味のあるものには素直に反応する。 ただ見た感じ、人と接するのはどうも苦手らしい。 俺がトーマを見つけて週が4回巡った。 大分慣れてはきたものの、いまだに目を合わせようとはしないし、笑顔も見たことがなかった。 行くあてがないと言ったトーマを城におくことになって、何もしないのは申し訳ないと言ってトーマは率先して城内の清掃や料理、リューイの世話をするようになった。 俺はそんな事はしなくていいって言ったけど、見ていたらどうも楽しんでるらしい。 仕様人たちとも上手くやってるみたいだ。 中でもリューイの世話はお気に入りらしい。 たまに城内に迷い込んでくるホーンラビットとも戯れているから、どうやら生き物が好きみたいだ。 トーマは今日も楽しそうにリューイの世話をしていた。 トーマはリューイの世話をしながらリューイに話しかけてる。 トーマはリューイに触れながら時折笑顔を見せた。 リューイには笑いかけるんだな。……俺にはその笑顔を見せないくせに。 何故かそれが面白くないと思って俺はトーマに声を掛けた。 俺が声を掛けた瞬間、トーマの動きがぎこちなくなる。やはりまだ俺には慣れてはくれないみたいだ。 しばらくトーマと話していると、トーマの頬が少し赤くなって、息も少し上がってるような気がした。 「…トーマ、気分でも悪いのか?」 そう聞くと、トーマはきょとんとする。 「いえ、特には……」 「だが顔が赤いぞ?」 そう言ってトーマの頬に触れると、トーマは急に慌て出した。 「だ、大丈夫です。今日はちょっと暑いだけなので……」 そう言ってトーマは俺から少し距離を取る。 今日はそんなに暑いか? むしろ、少し肌寒いのだが…… そんな事を考えて空を見上げていると、突然トーマの体がグラッと揺れた。 俺は咄嗟に倒れそうになるトーマの体を支えた。 「トーマ!?」 見るとトーマは気を失ってるみたいだった。 呼吸が荒く、トーマの体は驚く程熱を持っている。 熱?……いや、ついさっきまで変わった様子はなかった。じゃあ他に原因があるのか? 「誰か!誰か居ないか!?」 そう叫ぶと、騎士が慌てて走ってくる。 「どうしました!?」 「今すぐカノエを呼べ!あと医者もだ!」 そう言うと、トーマの様子を見て察した騎士は『今すぐに』と言って走っていく。それを見送ると俺はトーマを抱えて城内に戻った。

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