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第13話
僕がこの世界に召喚されてから1ヶ月が経った。
って言っても、この世界の時間経過が僕の世界の時間経過と同じかどうかは分からないから1ヶ月"くらい"って言った方が正しいかも。
僕は行くあてもなくて、今もジークさんのお城でお世話になってた。
この1ヶ月で、この世界の事が色々分かった。
この世界には幾つかの大陸が存在していて、それぞれに首都と呼ばれる大国がある。その回りを小国が囲んでいる形になってるらしい。
今、僕が居るのはアルド王国。
大陸の中で最も大きい大陸の中にある首都の隣にある国で日本が丸っと入ってしまうくらい大きいらしい。でこれでもこの大陸の中では小さい方の国らしい。
アルド王国の王さまは別の領地に居て、この町はジークさんが王さまから任されて管理している領地らしい。
正直、難しいことはよく分からない。
僕に関してもいろいろ分かった。
やっぱり対人の場合、その人の名前が分からないとステータスが見れない。
後はステータスをスライドさせると、スキルと状態が見れるようになった。
ちなみに他の人のステータスは見れるけど、僕自身のステータスは見れない。
自分のステータスが一番見たいのに。他の人のステータスを見るって、なんか盗み見てるみたいで申し訳ない。まぁ間違ってはないけど。
一応カノエさんに教えてもらって魔法の練習をしてみたけど、やっぱり魔法は使えなかった。
僕がこの世界に召喚された理由も誰に召喚されたのかもいまだに分からない。
僕はお世話になってる以上、流石に何もしない訳にはいかなくて料理や掃除といったメイドさんたちの仕事を手伝ったり、リューイの世話をしたりしていた。
ジークさんたちはそんな事しなくていいって言ってくれたけど、それは申し訳ない。
それにこれは僕が好きでしてる事。
今もリューイのところでお世話の真っ最中だった。
「リューイ、気持ちいい?」
そう聞きながら僕は、異常がないかリューイのステータスを確認しながら体をブラッシングする。
僕は元々動物が好きだから、リューイの世話は楽しい。
それにたまに庭に迷い込んでくるホーンラビットと遊ぶのも僕の楽しみになっていた。
「リューイは本当にキレイだね」
そう言って僕はブラッシングをしながらリューイの体を撫でる。
そうすると、リューイが顔を擦り寄せてきた。
「ふふっ、リューイくすぐったいよ」
「……トーマはリューイ相手だと笑顔を見せるんだな」
リューイとじゃれてると、突然後ろからそう声がした。
振り向くとジークさんが立っていて、僕は驚いて乗っていた踏み台から落ちそうになった。
そんな僕をジークさんが支えてくれた。
「大丈夫か?」
そう言って僕を引き寄せるジークさんに、僕は思わず息を飲んだ。
「っ!だ、大丈夫です。……すいません」
そう言って僕は慌ててジークさんから離れた。
最近おかしい。
ジークさんの近くにいると、胸がドキドキする。
………何なんだろう、これ。
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