11 / 415

10※

 ぐぷ、と押し当てられた熱い先端の部分が、初めの窮屈さが嘘のようにヌルリと難なく入り込んだ。  濡れそぼった窄まりが拡がり、まるで生き物のように亀頭を咥える。  あ、クる、キちまう……すぐに、もっと太いのが入ってくるんだ。はぁ、はぁ、と呼吸が期待に荒くなる。  なのに、ヌポ、とせっかく埋めた先っぽが簡単に抜けてしまい、予想外の消失につい惜しくなってきゅうっと口を締めた。そうするとすぐにまた入り込んでくる。そして抜かれる。  クプ……ヌポッ、クプ……ヌポッ、とそれをなぜか何度も繰り返されるのだ。 「はっ、ぁっ? っおい……?」  俺は自分の足で影になった視界で、快感を感じながらも妖艶に笑う男に、視線でなんで、と問うた。 「くく、テキトーに返事するからですよ、先輩。イキたくてわけわかんなくなってるとこ犯してもあんた覚えないでしょ? ちゃんと自覚して、頭にも身体にも教えこまないと」 「じ、かく……? っん、ん……」  ぬぽ、ぬぽ、と入り口の肉輪だけを執拗にいじめられて入る瞬間と抜ける瞬間を延々と与えられながらオウム返しをするが、よくわからない。  俺はお前の言うとおりに腹イキんで口ひくつかせてやってんのに、なに言ってんだよ。早く挿れて、俺をイかせろ。  そう思って濡れた瞳で険しく睨むと、三初はスルスルと手を動かして、インナーの中に手を入れ、俺の無防備な乳首を強く抓った。 「ぃ゛ッ……!」 「そうだなぁ……いい? ようく聞いてね、アホチョロ先輩。今からアンタの中に、俺が入る。最初みたいにゆっくりじゃねぇよ? この焦れまくってひくひくしてるとこ、一気に奥まで突き刺す」  乱暴な言い方に対して、囁くような酷く色っぽい声で言い聞かせられる。  声とともに、チュプ、クプ、と浅いところを先端で掻き回しながら、返事を待つことなく侵入を始める凶器。 「ぁ……はい、って、あぁ……」 「アンタは、今、後輩のチ✕‬ポにケツ穴ハメられて、勃たせてんの。わかった?」 「っ……つ、ぅ……っ」  先端を埋め込まれて乳首を捏ねられたまま、俺は痛みでクシャクシャの顔を真っ赤にして微かに頷いた。  やけに愉快げにニヤつかれた。  そんな生意気な後輩に、俺は抱かれている。そして今からその後輩が……俺の中に、全部、入ってくる。  眉根を寄せてフイと顔を逸らす。わざと羞恥心を煽るような言葉を選んで俺を辱めてくる三初に腹が立っても、今の俺は受け入れることを拒絶できない。 「ぃ……ん、っぐ、っ……っ」 「はっ、ほら、イキんで、拡げて? すぐ、奥まで入る」 「っは、ああぁ……っ」  くりっくりっと乳首をいじられながら必死に中を広げると、一回目とは比べ物にならないほどスムーズに、ズップリと奥深くまで全て呑み込まされた。  肌同士がぶつかるパンッ、という破裂音に、俺は首を仰け反らせる。  再度の長大な異物に中の襞はねっとりと絡みつき、内壁をズチュッと擦られる刺激に滾る自身がビクンと脈打つ。  ──は……っ、やっぱり、なんだ、これ……中、挿れられると……気持ちいい……っ。  俺は後輩に抱かれて初めて感じる後ろの快感に、あっさりと絆されてしまっていた。

ともだちにシェアしよう!