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02※
──最も安全なテリトリーとは? と聞かれると、俺はとりあえず自分の部屋を思い浮かべる。
一人暮らしの俺はこれといって誰かに邪魔されることもないし、リラックスしていられるからだ。しかし。
「ッヒ、い゛ぁ……ッ!」
その安全なはずの自室のベッドで、現在の俺はバチンッ、と尖った胸の突起を二つともV型のクリップで挟まれる痛みに、低く呻いて仰け反っていた。
思わず中をきつく締めつけると、俺を犯していた嫌がらせの犯人──三初が、パシンと叱るように内腿を叩く。
挿入と共に時折体内の襞を擦られながら携帯サイズのコールドスプレーを乳首に振りかけられ、やめろと言ったのに、容赦のない三初は硬く勃起させた俺の乳首にクリップをつけたのだ。マジでいってぇ。
乳首に噛みついているのかと思うくらいがっぷりと食い込む小さなクリップが、これほど憎いとは思わなかった。
「あぁぁ……ッ」
「似合ってますよ、セーンパイ。嬉しそうに俺の締めつけちゃって……さすがドマゾ。悦んでますね」
「ク、クソッ……嫌だって言ったッ……! 俺マゾじゃねぇし嬉しくねぇッ……い、痛ぇんだよ、アホ……ッ」
愉快げにせせら笑う男に屈しないよう、必死に抗議する。乳首にクリップとかどんな罰ゲームだよこの鬼畜野郎が……ッ!
どこをどう見たら俺が悦んでるように見えるのかてんでわからない。
速やかに眼科へ直行し、そのまま脳外科にも行ってほしい。切実に。
「痛い? そうでもないですよね。ちゃんと感覚マヒするまでキンキンに冷やしてからしてやったでしょ」
「気遣いの見せ場が違ぇッ」
「はいさっさと這い蹲って」
「んッ……ぅ、っく、っ叩くな……っ!」
開かされていた足を抱えられ強引にうつ伏せにさせられてから、自分で四つん這いになれと、尻をバチンッと叩かれた。
いつも眠っているベッドのシーツが今は凶器に感じる。
胸のクリップが触れてもし無理に取れると、絶対に痛い。そこに触れないように腕を伸ばし、肩に力を入れて懸命に上体を浮かばせ続ける。
くそ、オモチャ扱いしやがって……!
ストレス解消に付き合うって言ったくせに俺のストレス増やすんじゃねぇ……!
「は…ぁ……っ」
体を動かすたびグチ、と粘膜が擦れ、腹の中に長大なモノの存在感を感じた。
震える足でどうにか四つん這いになると、三初は後ろから俺の腰を両手で掴む。
「んッ……ぅ…く……ッ」
ズルゥ……ッ、と抜けるギリギリまで引き抜かれ、思わず身震いしてしまった。
肉棒に絡みつく襞を振り切っていくものだから、腰が痺れ、快感に背筋が粟立つ。
「ソレ。取れないように、精々頑張って下さいね」
「あっ……ぁあっ!」
次いで小馬鹿にしたような言葉を投げつけられたかと思うと、ズチュッ、と一息に内臓の角深くまで突き込まれ、間抜けな悲鳴があがった。
いきなり抉られる快感に、ガクンと上半身が崩れ落ちそうになる。
それを意にも介さず激しく掴まれた腰を揺さぶられれば、挿れられてからまだ一度も激しく犯されていない体は、我慢できない。
「あッ、あ、や、いやだ、ひっ、ぅぁ……っ」
肌同士がぶつかる絶え間ない破裂音が響き、俺は悲鳴をあげて容赦のない突き上げに身悶えた。
ベッドがギシギシと煩い。
内壁をゴリゴリと肉の杭に穿たれるたびに、張り詰めた屹立から先走りが零れ落ちてシーツを汚す。
必死に腕に力を入れるが揺さぶられるたびに胸のクリップも揺れ、その揺れが乳首にも伝わる。
重力で摘まれた肉が皮膚ごとひっぱられ、取れてしまいそうだ。
三初に触られなくとも突き上げとともに体を前後に揺さぶられるだけで、乳首を捻られている感覚が襲う。
そのうちコールドスプレーで冷えた乳首が火照る自分の体温で溶かされていくと、麻痺していた乳頭の感覚が、鋭敏さを取り戻し始めてしまった。
「っぁ、あっ……ぁ、ぅく……っ」
じくん、じくん、と挟まれた箇所が膿を持ったように熱を持ち、脈動する。
心臓の鼓動に合わせて送り込まれる血液がクリップで塞き止められ、痛みと共に、酷く抗いがたい瘙痒感が小さな突起二つに訪れる。
まずい──触ってほしい、なんて。
「待て、これ、あッ、取って、ゆっくり取れ……ッあ、ヒッ……んッ……んんッ」
「はっ、こんなに感じまくってるのになに言ってんですか? ほら、ガチガチ。シーツに水溜まり作っちゃって、激しくされながら乳首揺らしてんの気持ちいいくせに」
「! やっ、やめろ、っあ、みっ三初ぇ……っ」
言いながら前立腺をカリ首の反り返りで強く擦りあげられ、俺は身悶え、乳首をクリップごとチャリッチャリッと揺らした。
男に犯されてチェーンを振りながらクソほど感じる自分の姿を想像すると、恥辱で燃え尽きて焼死しそうだ。
「んぁっ、と、取れって……っ突くなっ、あっ、う、あぃ、っ、くそぉ……っ」
膿んだように脈打ち、ジクン、ジクン、と痛みと快感をもたらすこれを、一刻も早く取ってほしい。
切れ切れの悲鳴の中で懸命に抗う。
するとガツガツと貪るように犯していた三初が不意に手伸ばし、足の間で濡れる俺の性器を掴むと、乱暴に扱き始めた。
「あぁぁ……っ! ぁっさっ触んな、む、胸が、ぁっ……嫌だってぇ……っ」
「くく、俺もいーや。先輩、頼み方がダメって言ったでしょ? もっと考えて。俺が言うこと聞いてあげたくなる言い方でお願いしますよ、ねぇ、先輩」
「ンなのわかんな、っひ……っあぁ、こ、こんなのでイキたく、ねぇ……っちぎれるから、も、取れってよぉ……っ!」
絞り出すように巧みに追い詰められる肉棒がドグッ、と脈打ち、大きさを増す。
そこを触ってほしいと言ったわけじゃないのに抗議はできず、俺は直接的な刺激にのたうち、甘ったれた情けない懇願を繰り返す。
それほど手酷い扱いを受けているのに、キュン、と腹の奥に疼きを感じ、悔しさから唇を噛み締めた。
「と、取れ、取って……っひ、うあっ、ぁ、と、っ……取、ってくれ……っ」
あぁもう、最低だ。
コンチクショウ。
いっそ乱暴に痛めつけて強引に命令されれば心底嫌悪して蹴り飛ばしてやれたのに、コイツは俺を必ず快感の沼に堕とす。
セックスに誘う時はこれみよがしにスマホの画面を見せつけて、ニヤニヤしながら「わかるでしょ」と脅すくせに。
暴君極まりない行動と発言をするこの男は、性欲処理というにはあまりに時間をかけて、趣向を凝らし、丁寧に抱くのだ。
だから〝脅迫に負けて抱かれてやっても開き直ってストレス発散に使ってやるからな〟という跳ねっ返りの思考回路が、崩れ落ちていく。
この後輩は、俺の思い通りにならない。
「──……取って……くだ、さい……っ」
認めたくないが……俺はあれから、オモチャとしての役割をしっかり務めされられる日々を、送らされてしまっているのだ。
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