281 / 415
34※
そうやってしばらくバチッ! と鞭打たれていたが、苛立ちが増した頃、ようやく打撃が止んだ。
「んん、あれ? 勃ってないのですか? 私はあんまりこういうことをする側にならないので、難しいですね……」
「ン……ッ」
熱を孕んだ患部に触れられ、マネージャーの手のひらが冷たく感じる。
その手から逃れようと尻を揺するが、拘束具がガチャンと鳴るだけで、振り払うことすらできない。
羞恥も感じるし、屈辱的な気分だ。
けれどこういうのにも、俺は鼓動が高鳴ることがない。
シャワーを浴びてしっとりとした肌に汗が浮くのは、やはり嫌悪感と緊張が大きかった。
「それじゃあ今度は、恥ずかしいことを致しましょう」
間森マネージャーは常備されているローションボトルからトロリとローションを手に取り、また背中にまわって双丘の谷間へ指を滑らせる。
ツプ、とラテックス製のサックをつけた指が一本挿入され、俺は必死に「ゔぅぅッ」と唸り声をあげた。
だけど俺になにか特別な感情を持っているわけでもなく、ただ組み伏せて性的に弄びたいだけのマネージャーは、それを無視する。
グルリと円を描く指が二本になって巧みな指使いで後孔を解すが、広げることだけを考えた動きだ。
前立腺を探ろうと陰茎を擦りながら探られても、体が反応しようが頭の中は冷えていく。
「ゔぅッ、ふっ、んぅ…ッ」
「機嫌悪いですねぇ。でも、ちゃんと触れば勃ってきてるじゃないですか。要くんじゃなくても、御割さんは感じるんですよ? 痛いのも好きで、他の男に触られても好き。マゾってお得ですね」
愉快げに揶揄され、俺はだからなんだと反抗的なものがフツフツと湧き上がり続けた。
せめてもと指を締め付けないよう、三初に教えこまれた肉襞の動きを、できる限りセーブする。
「んっ…ん…ッ」
(こんなの……違ぇ……痛みも羞恥も、相手が誰でも感じたってな、全然違う……っ全然、物足りねぇんだよ……ッ)
泣きたいような、暴れたいような、温度の高い感情が燃え上がった。
三初なら俺の威嚇にはきっちり平手でも与えて、言葉も用いて叩き折るだろう。
三初は俺の反応を見逃したりしない。
俺がイイように尽くすこともないが、俺を無視して独りよがりな行為と感情を押し付けたりも、しない。
それは初めて抱かれた時でもだった。
アイツは俺に気持ちいいでしょ? と言う時、俺がどんなに泣いて嫌がろうと、必ず快感を感じるようにするのだ。
俺はそんなことすら、無意識に三初と比べてしまっていた。
「うーん。なかなかいい締まりですね。自主トレしてるんですか?」
「ん……ッ」
クチュクチュと内部をかき混ぜていた指が、ズルリと引き抜かれる。
トレーニングなんてものはしていないしする気もないので、ブンブンと首を左右に振り、不満を露わにして暴れた。
しかし必死に逃げ出そうとしても、鉄製の拘束具が外れるわけがない。
緩衝材を挟まずにつけられたおかげで、足首と手首には擦れた痣ができている。
ともだちにシェアしよう!