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『あーヤバい、音凄いですね。アンタがここにいたらそのザマ見下ろしながら頬擦りして、顔面にぶっかけてやるのに』 「ン……っ上等だぜ……俺のと混ぜて、全部舐めてやら、ぁっ……はっ……」 『はは、ならその減らず口ごと喉奥塞いでご馳走しますよ。二人分の生臭いセーエキ絡めて突っ込む。アンタは食道で扱いて、味わって』 「っ……ひ、っ……」  ゴク、と喉が鳴った。  ──クソ、想像しちまった……っ。  この暴君は声だけでも抜け目なく鬼畜サド満開なのである。チクショウめ。  目隠しにしている掛け布団の中で下腹部が熱く滾り、ムワ……ッ、とすっかり布の下は卑猥な蒸気で満ちていた。  散々かき回して丁寧に拡張したおかげで、入り口は三本の指を楽に深々と咥えるほど拡がっている。  指じゃ届かない奥はまだよく締まるが、十分だろう。だけど今は一人で、こいつは俺を無防備に煽る。  腹が立って、ぐるりと体をうつぶせにして枕を噛み、なりふり構わずクチャクチャと指を乱暴に動かして八つ当たり気味に後ろの快楽へ縋りつく。 「〜〜〜っも、はぁ……っく、今なら自分から騎乗位して、腰振って、死ぬほどキスしてやりてぇ……っ」 『ん……ふ、んなこと言われたら、どこでもドアとか開発したくなりますね』  情事に聞く三初の熱っぽい声がそんなことを言うと、ズク、ズク、と指では届かない部分が脈打つ。  これだけ拡げれば、いつもならそろそろ挿れろとせっつく頃合いだ。 「じゃあ早く来いよボケ……ッ」 『アンタ、むちゃくちゃ言うなぁ……』  ピクン、と足の先が跳ねた。  張り詰めた勃起の先端が戦慄いて開閉を繰り返し、血管が浮かび、粘度の高い蜜が際限なく分泌される。  危惧した通り、指じゃ届かない深くを突かれたくなってしまったのだ。  このまま手だけでイッても後ろが満足できそうにない。半端に触ったせいで本気になった体は、いつもなら与えられる大きな快感を求めてやましく疼く。  別に、目論見がバレて反撃された時点で負けは濃厚だったんだよ。  だからまぁ、場外乱闘ってことで。 「来て、挿れろ、って……っン…ぁっ……尻上げて、ねだってんだぜ、なぁ……三初……っ指じゃもう足りねぇ……っ」  シーツにトロリと唾液を零して、甘く切なく、懇願して喘ぐ。  言葉を選んでいる余裕はなかった。  煽ることなんか忘れて、ただ言いたいことを言っているだけだった。  誘惑で余裕を崩すために、と素直に快感を求めすぎた副作用だろう。  わざとだったはずが本当に歯止めが効かなくなって、なりふり構わず続きを寄越せと誘っているわけだ。  我ながらなんつーアホなオチ。いやいや不可抗力。むしろ当然の結果。要約して言い出しっぺの大魔王が悪ィ。 『うわぁ……これだから先輩はアホバカマヌケ駄犬野郎なんですよ。出張先のホテルで一人ケツ振って欲しがって、アンタが俺に挿れさせろって、の、っ……ん』 「うっせぇ……っ俺で抜いてるくせに、ン、ンぁ、あっ……」 『くくく、それ、ブーメラン』  少し掠れた、アイツのエロい声。  情事特有の響き方だ。知っている。  電波を伝って熱っぽく乱れた呼吸や声が耳をくすぐる。そのたびに俺はゾクゾクと背筋を粟立てて、尻を揺らめかせて感じてしまう。  知っているから仕方ない。  滅多に崩れない乾いた余裕が湿っぽく火照って、雄臭い笑い方になる。  若い肌に汗玉が浮かんでやたら整った顔が人間らしく歪み、意外とかわいいこの年下の男は、気持ちよさそうに俺の体を捕まえて踏み荒らす。  思い起こすに容易いそれらが脳裏を支配すると、自分の指に絡みつく襞の熱さや、小刻みな痙攣を繰り返してもっとと求める内部の動きが増して、恥ずかしいくらいいやらしかった。 (中が、疼く……挿れてイキてぇ……せめてなにか、代わりがありゃあ……っ)  ぼやけた視界で見つけた保湿クリームのチューブを、自然と手に取る。  徳用だから普通より太めだがこれならツルリとしていて凹凸もなく、比較的まっすぐだ。難なく奥まで入るだろう。  そう判断したあと、欲情して快楽に溺れている俺はそのまま濡れて拡がったアナルに、ぐぽッ、と押し込んだ。

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