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「あ、ぁ、ッぅゔ、前触りながら、じ、自分でしてる、一人で、イクから、聞いて、はぁ……っ」  なるべくと体を丸めて腕が届くように調整し、雑な抽挿を繰り返す。 『もう全然ぶっ飛んでんじゃないですか。なに突っ込んでんのか、な』 「クリームの、チューブ、っ」 『ふはっ、俺の代役ってチューブなの? いいですよ。聞いててあげますから、ワンワンって名前呼んで、イってみな……?』 「ンぁ、あッ、なまえ、わん、わっ、っ? ふ、あぁ……っ」  ビクビクと痙攣しながら激しく動くものだから、三初の声が聞こえるスマホが枕から滑り落ちる。  俺はそれを追いかけて首を横向きに捻ったが、そのせいで体がドサッと倒れ、膝が胸につくほど身が縮まった。  喉の奥で「ヒぁッ」と悲鳴が引きつれる。 (ほんとに、だめだ、イク、い、ふっ……)  下腹部にとごっていた快感の熱が解放にむかって、マグマのように沸き上がる感覚。  チューブを咥え込む内壁がうねり、小刻みな蠕動を繰り返してしゃぶりつく。  手の中で大きく育って濡れている屹立は、真っ赤に腫れあがっていた。  三初に抱かれている時を思い出して自分でチューブを抽挿させながら、スマホの画面をベロ、と舐め、通話口にキスをする。 「イク、イ、っく、俺、はっ…かなめぇ……っイク、俺の中に、お前のある……っ、要、かなめ、っいく、い、あっ、あ、あ……ん、ひぁぁ……っ」 『んの勘違い淫蕩犬が……っ』  カチ、と歯が画面に当たって、キスは失敗。  掠れて溶け落ちそうな泣き声混じりの嬌声を至近距離で通話口に吐き出しながら、俺は濃厚な白濁液をドプッ、と吐き出した。 「ぁ…、っ…、ふ、あ…、あ、ぁ……」 『クソ、普段名前って、そっちじゃねぇでしょ……っそれやられると、調子狂うわ、……ん、っ』  ぐったりと脱力してシーツの海に沈みか細い息を吐いて余韻に浸る俺に、苛立ったような悪態が吐き捨てられ、少しの間を置いて後を追われる。  怒っているようにも思える、なんてわかりやすい文句の言い方は、三初の独り言だ。  だけどそんなにわかりやすいことなんて滅多にないので、この勝負は俺の勝ちである。 「ふ、っ……へ、どうだ、おれのかち、だろ……?」  達したことで目の奥が一瞬白く染まり、五感が快感専用になり果てていた。  舌の動きが鈍いのは体に力が入らないのとまだ頭がぼやけているからだが、俺は口角を上げて勝利宣言をする。  本当のことを言うとボロ負けかもしれない。いや、ボロ負けだ。  でもあの無敵メンタルに声でもわかるくらい焦らせたのだから、どうしたって俺の勝ち。  異論は認めない。  認めたら今の俺の惨事が哀れ過ぎる。  本人の声を聞いて興奮し、無機物をいつも自分を犯すものと見立てて自慰に耽り、イクなんて、初めての経験だ。  この残念な経験に見合う結果がないと、やりきれないじゃないか。  そんな気持ちで挿れていたチューブをズルッ、と引き抜いて返事を待つと、盛大な溜息が聞こえた。 『あー……こちらといたしましては、承諾しかねる、と言いますか、ね』 「ん、だよ、認めろ、って、はぁ……」

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