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11※
「チッ……なんで生きてんの……? なんか無理すぎて、ムカついてくる。こちとら、あんたの呼吸でイキそうだってのに……ッ」
余裕のない三初も好きだぜ。キレそうな三初も好き。語彙力のない三初も好きだ。
今日は独り占めできて、幸せ。嬉しい。大好き。うへ。
喘ぐことしかできず、俺の都合はお構いなしに貪られても、俺の頭はとっくにバカだ。
腰が抜けて自分で立っていられない。
後ろから貫く肉棒に支えられ、内腿をガクガクと痙攣させて快楽の坩堝に堕ちる。
どうすんだよ、もう。
三十にもなる男が、四つも年下の男に熱を上げて焼死しそうだ。
好きで、好きで、みっしりと柔肉を埋める怒張を締め付けると、頭の中が好きでいっぱいになる。
体も心も頭も全部、喰らい尽くされたって構わない。
(みはじめ、変になると、意地悪しねぇの? なんだよ、それ、かわいい、好き、うぅ、すき、ぁぁ……っん、そもそも、俺はこんなことしたかったんだっけか? わかんないけど、うぅ〜好きだ、俺、こいつがすき〜……)
素面の俺が脳内にいるなら、自分で墓を掘って自分で埋葬した後、安らかに死すだろう。
いわゆる恋愛脳の〝だいしゅき状態〟な俺だ。事実だからいいんだぜ。
俺、今日こいつのことすごく好き。
これ、俺の彼氏。
ゾクゾクと這い上がる官能に支配されて眉根を寄せる俺は、腰が浮あがるほど強く突き上げられ、小刻みに痙攣する。
「っあ、ぁ…ッや、や、イク、ダメだ、っ……イク、イク……っ」
「ん、っ、は、声も禁止、死ぬ……」
「イク、ぅ、んあぁぁ……っ、ひぃ、ぁっ声だ、め、っ」
泣きそうな声で血管を浮かせて反り返った肉茎がビュクッ、と精液を迸らせた。
声を禁じられても、うまく従えない。
甘ったるい鳴き声をあげたことに、しゅんとしょげてしまいそうだ。
黒いシーツの上に白濁した粘液がドロドロと飛び散り、急速な脱力感が押し寄せる。
薬を飲んでいなくても、過敏な肢体は内臓を掻き回されると、絶頂するのだ。
キツく収縮する内壁が体内のモノを締め上げれば、数秒の間を置き、奥深くで熱が弾けた。
けれど、ドクッドクッと脈打つ杭の硬さは変わらない。
「クッ、ソ……マジで、殺すかな……」
三初は痙攣しながら身をよじる俺を、そのまま再度うつ伏せに押し倒す。
自分の出した精液がシーツと胸の間で擦れ、ヌチュ、と不快なヌメリを感じた。
萎えた肉茎が引き抜かれ、襞が名残惜しげに柔軟に絡みつく。
キュゥ……、と口を閉じる後孔はすぐに開き、まだ足りないとヒクついた。
「ふ、ぁ……」
ようやく衝動が収まったのか、と寂しいような安心したような息を吐く。
だが俺の後頭部を熱い手が押さえつけ、俺は腰を上げたままベッドに顔を埋めてしまった。
「酔ってるとね、」
「っんぶ、ぅ」
「先輩のスケベなケツ、ちょっと弛めでトロトロなんですよ」
「う、ぁ、ふぁ……ッ」
そして三初は、呼吸がしづらく言葉を吐けない俺の赤く充血した尻穴を、みたび一息に貫く。
達したばかりなのに萎えない怒張。
首を捻じると、口を縛った避妊具が無造作にすぐそばで横たわっていた。
俺の甘い鳴き声はベッドに吸い込まれ、膝が肩に寄せられるほど折りたたまれる。
コンパクトな体勢で俺を犯しながら、三初は掴んだ俺の髪を乱暴になでた。
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