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第1話 腹ぺこの彼
俺、東雲圭 は最近ハマっている事がある。
それは、
「圭、腹減った」
「もうすぐだから、待ってて」
彼、堂門奏汰 を餌付けする事だ。
「奏汰、もうすぐ冬休みだけど、実家に帰るの?」
「帰んない、ここに住む。いいだろ、圭」
「いいけど」
「じゃ、決まりな」
「ここよりも、いい物食べられるのに」
童門財閥の御曹司なんだから。
「圭の飯の方が美味い」
いやいや。嘘でしょ。
実家だったら、三つ星の料亭に出るような料理が食べられるのに。
「俺の身体って、全部お前でできてるんだな」
「えっ」
「だって、朝昼晩、圭のご飯だろ」
びっくりした。
表情変わってないかな。
「変なこと言ってないで、はやく食べて。大学に遅れる」
「……あぁ」
はぁ、離れなくなってるのはこっちだ。
いつか、離れないといけないのに、
「行くぞ、圭」
「うん」
でも、今はまだこのままで。
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