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2ー7
「ミカエルやラファエルみたいに掛かって来ないんだな…」
「彼等には彼等の策があります。そして私にも無論あります」
言葉を啄む唇が、美味しそうな色をしているとゼウダーは思う。
「的確な判断だと思う。数千という下級悪魔を死滅に追いやる考え方は、他の大天使では思い付かない」
「魔界帝国侯爵様に褒めて頂き、光栄です。それで、貴方様は如何なさいますか?兵士天使達の殆どは能天使(パワーズ)です」
戦闘方法を素直に褒めると、ウリエルは微かな笑みを浮かべて、挑戦的な科白を溢す。
「はははっ、随分と…侮られたものだ…」
高らかな嗤いが空気中に響いていく。ゼウダーの青金色の双眸が細められ、ウリエルを捉えた。
金色にも見えなくない瞳は不思議な色合いを感じさせた。
「…」
「気に入った」
「何を…」
「ソナタの術を封じさせてもらった」
気付いた時には既に遅かった。
体の自由が利かないウリエルは、身を捩ろうと必死。しかし、解ける気配もなく。
「我の術を解くなどと考えるな。無理な足掻きだ」
ゼウダーは椅子から立ち上がり、指を鳴らしたのであった。
妖し気な雰囲気は彼を取り囲んで包んでいく。独特な気に呑まれそうになり、ハッとなった。
ー…これが魔界帝国、一、ニを争う貴族の。
魔王の右腕である男性…。
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