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上手い話が早々、転がっている筈もないのに容易く引っ掛かってくれる。 それを掬い上げて貶めていくのも一つの娯楽として楽しむ術。 『魔族が天使達を抱く時、必ず口説きから入るのが作法』と説明したら軽蔑視される。 上級魔族なら嗜んで優美にリードをしてくれたり、紳士的サービスを忘れない。じわりと奥深くに浸透させ、離れられないくらい染めていくのだ。 彼方が懇願するまで命を奪うのは楽しみに取っておくのが享楽だったりする者も多少なりと…。 視線をウリエルに向けながら、ふっと昔の自分を思い出していた。 若し頃、天使を泣かせてきた。段々、年齢を重ね常識を弁えてきたつもり。 罠に嵌まる者が悪いのだと、容姿に囚われ、どっぷりと浸かる方の気持ちが知れないのだと言い聞かせてきたつもりだ。 実際、熾天使(セラフィム)を抱くのは初めての経験。 だが己の中で嵌まりそうだと微かに予感していたのは今は内緒にしておこう。 悠長に他の考え事をしながら、彼の髪を掻き上げる。金髪の髪は思った以上に柔らかい感触。 そして、指に絡まらないのがまた丁寧に手入れされているのだと圧巻した。 ふっと、自ら毛先にキスを落としていた。 ー…この大天使を堕とてみたい。 そんな野望がゼウダーの中で渦巻いていた。

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