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DARK GREEN 2

 太一は慌てる俺を横目に、かなり落ち着いた様子で部屋に入って来て、床に静かに正座した。  責任感じた太一はきっと謝りに来たんだ。 「ごめん。昨日、変なこと言って」  俺はひたすら俯いていた。気にしてないよって明るく言うべきなのに。 「あの一言が、お前を傷付けたんじゃないかと思って、ずっとモヤモヤしてた。昨日直接謝ろうと思ってもすぐいなくなるし、スマホは電源入ってないし、今日は学校も来ないから。本当にごめん」  太一は座ったまま、頭を下げた。  そんなことしなくてもいいのに。  余計に惨めで、切なくなっちゃうじゃん。  俺は首を横に振った。 「いや、太一の事で学校行かなかったわけじゃないよ。本当に風邪気味で」  強がっては見たものの、嘘だっていうのはバレバレだろう。  太一は徐に立ち上がり、俺のいるベッドに近付いて来たので自然と体を後ろに引く。  しかし太一はズイズイと顔を寄せて、ついには昨日かそれ以上の距離で俺の目の前にやって来た。   「な、なんだよ。近寄んなって言ったくせに」  ドッドッと耳元に心臓があるかのようにうるさく鳴る。  息を止めて、顔を見ないように太一の胸あたりに視線を落とした。 「――ごめん。お前に近寄ると俺、まともに呼吸も出来なくなるんだ」  今のは自分が言った言葉だったかと、俺はふと不思議に思い顔を上げた。  そこには、耳まで真っ赤に染めた太一の姿があった。 「胸が鷲掴みされたように痛くなって、お前の髪に触れたりしたくなるんだ。いつからそんな風に思ったのか分からないけど……昨日は、ヤバかった。教室だったけど、理性吹っ飛んじゃいそうだった」 「え……」 「きもいって思った?」  さらに早鐘を打ち始める心臓の音を聞きながら、俺は必死になって首を横に振った。  太一はふっと微笑して言う。 「授業中、黒板よりも斜め前のお前ばっか見てる」 「えっ」 「成績下がったら、お前のせいだよ」  俺は涙の雫を弾けさせながら、太一に頭を撫でられたのでした。  

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