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DARK GREEN 1

 十六年生きてきた人生でこんなに辛かった事は無い。昨日のあの超ショックな出来事から丸一日が経ち、ようやく涙も枯れて来た頃、俺は改めて決意した。 「うう……俺、やっぱもう学校やめよ……」  今日は学校をサボり、朝から食事も採らずに自室のベッドに籠っていた。ていうか起き上がれない。スマホも見れない。何も出来ない。  多分明日も明後日もこんな調子だし、太一(たいち)に嫌われてるってハッキリ分かった今、学校に行く意味が見い出せない。  ――あんま近寄んなよ。  俺は昨日、太一に何気なくそう言われた。  日直だったので授業終了後、黒板を綺麗にしようと黒板消しで書かれた文字を消していたら、すぐ後ろに太一がいたことに気づかずに、背中をぶつけてしまった。 『あ、ごめん』  見上げて謝ると、太一は目を見開き僕を凝視していた。  確かに近いには近かったし、ドキドキした。こんなに間近で太一の顔を見られたのは初めてだったから。  笑っていたら、太一は床に視線を外して 『あんま近寄んなよ』  それだけポツリとつぶやいて、教室を出て行ってしまった。  何が起こったのか分からず、ただ茫然とした。とりあえず黒板を綺麗にしなくちゃ、ってなんか使命感に駆られてめちゃくちゃ綺麗にしたけれど、俺の心は晴れる事はなかった。  その日ずっと気まずくて弁当も一人で屋上で食べたし、ホームルームが終わった瞬間に教室を飛び出しスマホの電源も切った。太一に会わせる顔がなくて、今日はズル休みした。  ずっと、嫌われてたんだ。  太一は優しいから今まで言わないでおいてくれたんだ。なかなか言えなかったけど、昨日ついに究極に俺と近づいてしまったから、本音がポロッと漏れてしまったのだろう。  大好きな人に嫌われるほど、悲しい事はない。  もう無理だ。そう思っていたら、一階から母の声がした。 「太一くんがお見舞いに来てくれたけど」  ビクッと体を竦ませ、咄嗟に布団の中で丸くなる。  相手してられないくらいに体調が悪いから、帰ってもらうようにお願いした。  母は了承し、その後はもう声をかけられる事は無かったが、しばらくしてから誰かが二階に上がってくる足音が近付いてきて、ゆっくりと部屋のドアを開けられた。 「仮病だろ」 「た、太一」

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