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玩具とは、時に啼かせたくなるオモチャを表します…
――織家・桜草の間
「あははははっ…面白い…っふ」
畳に寝っころがりながら足をバタバタと上げ、笑い転げている。
彼が笑っているのは先日の件だった。龍華家に足を運んだ際、面白い男性を紹介された。
自分より年上なのは見た目で解る。
別にそこがツボって訳ではなく、漣を刺激したのは男性の本性の部分だ。
「――…朝から五月蝿いですね、漣っ」
「これはこれは…総帥様。今朝は虫の居所が悪い様で…」
勢いよく開けられた襖の方へ視線を移すと、腕を組ながら仁王立ちしている従弟。眉をピクピクさせ、不機嫌さを示している。
「貴方は朝からご機嫌な様で…。何が面白いのやら…」
「…別に?面白いと言えば面白いけど。あの類いは、手でコロコロしたくなるなって思っただけだよ」
クスリっと唇の端を綺麗に上げ、漣は答えた。
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