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顔が般若だ、般若。
深李さんの事になると感情を露にするのは正直、止めて欲しいと思う。僕は聞かされただけであり、馴れ初めの経緯(いきさつ)まで詳しい訳じゃない。
詳しいと言うなら、倉科家の若君が絶対色々と知っているって。
『漣さん、彼は倉科 海凰と言います。深李の従兄弟にあたります…』
何たって…深李さんの従兄弟。
「龍華家の者は倉科家の者と契りを交わすのが掟とされているんですよ?ただ、両家に男児が生まれた為…どちらかが抱かれる側になると定められてるのに、鳴澤家の嫁になるとか、志龍様もよく…お許しになりましたね。本来なら、深李様は倉科家の若君と契りを交わさなければいけないのに…」
「…」
倉科家の若君…ね。
平然としていたけど?
ふっと、過った彼の顔を反芻する。
清爽感あるが、猫の皮被っているし、喰えない男だから余計に興味をそそるのは確か。
整った容姿は申し分無いのに、口を開いた瞬間に出てきた言葉に苛っとさせられた。
「人の射んとせずまず馬を射よってな?」
「漣にしては珍しく、疑問系ですね…」
半ば呆れつつある声。
大体、ほんの数秒前まで不機嫌丸出しな上に首を絞めていた癖して、疑問系で悪いかな?
僕の方は天美のコロッと態度を変える瞬間技に唖然とさせられる。技に名前を付けるなら『これなら行ける!玩具にも効果覿面、天美の●●●』だろう。
如何なる物も唖然とさせる能力を発揮する。
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