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4ー8
深李様の元へ行かせたら、更なる危害が及ぶ。ブラック降臨している従兄弟を見せるには良心が揺るがされます。
「今、深李様に逢ったら地獄を見る羽目になりますよ。 漣様…」
「地獄?」
「えぇ…。世にも恐ろしい地獄です」
織家の御曹司を地獄へ案内するのも失礼ですからね。
態々、危ない橋を渡らせる必要もない。
「ですから…大人しく、鳴澤家の若君と一緒に座っていて下さい!」
私は急須に茶葉を入れ、お湯を注いだ。
「僕に命令する気?」
「大人しくしておいた方が賢明ですよ。あの状態に巻き込まれたら最後ですからね…」
「――…ムカつく」
ぎろりっと睨みを利かし、織家の御曹司は皮肉たっぷりに吐いた。
「…それで、今日は何用で龍華家に来たのですか。織家の御曹司様」
湯呑みを一つ用意してお茶を注いで目の前に置いた。
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