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第2話
それから半年しても将くんは精通しなかった。
なのでまた、父さんに射精しているところを見せてくれと頼んでいた。
でも、父さんは一回だけという約束だったからといって頑としてOKしない。
こんな悲痛な顔をして頼んでいるのに。
可哀想な将くん。
それから僕は父さんとケンカをした。
父さんと僕がケンカをしているのを気まずく思ったのか、将くんはもう射精をしているところは見せてくれなくていいといいだした。
そのかわり、自分の触り方が悪いのかもしれないから、触り方を教えて欲しいとお願いした。
父さんはまた渋ったけれど、これをOKしなかったら、僕は家出をする!と脅したら、本当に渋々OKをしてくれた。
そのかわり、僕は数学の勉強をちゃんとするように約束させられてしまった。
なんで僕がそんな約束をしなきゃいけないのか…とは思ったけど、大切な友だちのためだし、将くんも僕の勉強を助けてくれるというので、ならばいいかと約束した。
触りかたを将くんがお風呂でならっているあいだ、
「あっっ!ああっっっ!あっはぁっっ!」
という、将くんの声が響いていた。
父さんは力が強いから、少し加減がわからないのかもしれない。
将くんはまだ精通もしてないんだから、自慰の回数も僕なんかよりずっと少ないし、ぜんぜん慣れてない。
もうちょっと優しくしてあげるべきじゃないかと思った。
案の定、風呂から出た将くんがぐったりしている。
「父さん!強くこすりすぎたんじゃないの?」
ついついけんか腰で詰め寄ってしまう。
「あー、いや、その…」
と、父さんは歯切れが悪い。
でも、父さんに詰め寄る僕を将くんが止めた。
「おじさんは悪くないよ。オレが失敗しちゃったんだ」
「失敗?」
それを聞いて父さんが慌てて、将くんの言葉を止めようとする。
「いいよ、おじさん。光輝、オレ射精できずにおじさんの手にお漏らししちゃったんだ」
その言葉に衝撃をうけた。
将くんは僕なんかよりずっとしっかりしているのに、お漏らしだなんて、どれだけショックだっただろう。
「おじさん、次は絶対しっぱいしないから、もう一度チャレンジさせて」
気弱に頼む将くん。
「失敗してすごくショック受けてるんだから、そんな将くんをこのままにするなんて絶対だめだよ!」
そう僕に詰め寄られて、しょうがなく父さんはもう一度というのをOKしたけど、結局いろいろ理由をつけてそれから三ヶ月くらい先延ばしした。
大人ってずるいなって思った。
そのときもやっぱり
「あぁっっ!んぁ…おじさん!!ああっっ!」
なんて辛そうな声が聞こえてきたけど、失敗はしなかったようだ。
やっぱり射精はできなかったけど、それに似た感じにはなれたらしい。
そのあとしばらくして将くんが前立腺マッサージというのを調べてきた。
それをすると射精しやすいそうだ。
父さんにそれを話すと、父さんもしたことはないらしい。
子供よりは大人の方が前立腺がわかりやすので、父さんでやり方を勉強したいと将くんがいったけど、やっぱり父さんがごねた。
父さんは将くんの必死な気持ちを全然わかっていない。
全員に聞いたわけじゃないけど、たぶん僕らの学年で精通していないのはもうホント数人じゃないかと思う。
それだけはダメだと、断固拒否の父さんに僕もキレた。
家出だ。
まあ、行き先は将くんの家なんだけど。
一週間くらいで父さんが折れた。
でも、OKしたはいいけどなんだかんだ理由をつけて先延ばしにするかもしれないので、僕が帰ったその日にすることを条件にした。
風呂場から、
「うう……っっくっっく…あっあああっ!」
と、父さんの押し殺したような声が響いてくる。
おしりの中に指を入れてマッサージするから、上手にできないと痛いかもしれないって将くんが言っていた。
将くんは初めてだから父さんも苦しいのかもしれない。
少ししたら、将くんの
「んん…あ!ああっ!おじさん!イイっ!」
という声がきこえてきた。
きっと、父さんが自慰のしかたも教えてあげてるんだろう。
いつもダメダメいうくせに、父さんもいいとこあるじゃないか。
風呂から出てきた将くんはすごく嬉しそうだった。
「手応えあった?」
と聞くと、
「ばっちり!」
とハイタッチをしてきた。
これはかなりいい感触を掴んだんだろう。
父さんは湯あたりでもしたのかぐったりしている。
練習の甲斐あってか、それからしばらくして将くんは精通した。
精通しないまま高校進学なんてことにならなくってよかった!と、ふたりで喜びあった。
「おじさんのおかげだよ!ありがとう!」
って嬉しそうに将くんが言ってるのに、
「いや、手伝わなくても精通したと思うけど」
なんてごちゃごちゃ独り言。
あれだけ必死だった将くんが、そんな言葉聞いたら落ち込んじゃうよ。
父さんは時々無神経だ。
でも、男親っていうのはそういうものらしい。
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