ダラダラと溢れる先走りが手の滑りを良くして、ぐちゅぐちゅと淫靡な音を立てる。 「ぁあっ……い、い……」 七瀬はただその快楽を受け入れて、俺へと身を委ねた。 ――紗奈がこの世から居なくなって、俺は幾度と発情期のΩを抱いた。 本能に身を任せるのは心地よかった。 飢えた身体を満たしてやれば、それはΩにとって幸せであるのだと錯覚した。 それが独り善がりであるとも気付かずに。 「……で、るぅ……ぁ……でちゃ……ぅっ」 「好きなだけ出せ」 「あ、あ、や……あ、んぁっ………」 吐精した身体はぐったりと俺に凭れて肩で息を繰り返す。 その身体をベッドへと沈め、組み敷いて熱に浮かされた顔を見下げた。 「まだ………ぁだ………たりな……っ」 「分かってる」 必死に伸ばされた手を取って、ベッドへと縫い付けるように押さえ込んだ。 期待に満ちた眼差しから目を背けて、浅い呼吸を繰り返している唇にそっとキスをする。 掴んだ七瀬の手がピクッと反応を示したのを合図に、重ねた唇の隙間から舌を差し入れた。 「…んんっ………んぅ………」 甘いくぐもった矯声ごと溢れる唾液を飲み込んで、熱を帯びた舌を絡ませた。 舌先が擦れ合う度、七瀬の腰は揺れ、出したばかりだと言うのにモノは主張を続けている。 一度口を離せば途端に呼吸を思い出したかのように七瀬の口は酸素を求めた。 「はぁっ……んっ……はっ……」 「大丈夫か？」 「んっ……きもちぃ……うれしっ……ぃ」 「…………………」 「ぁい、ざわ……の、うれしぃ……」 ――後悔ばかりの人生だった。 「て、と……にお、い……うれし…っ……」 願ったものは何一つ叶わなかった。