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遅咲き_32
side α
浅い息遣いが寝室に響く。
俺を見つめる七瀬の目はすっかりと蕩けきっていて、恐らく理性の殆どが働いていない。
発情期にαのフェロモンを浴びて、抑制剤を飲んでいたとは言え、よくここまで理性を保ったもんだ。
「七瀬……」
呼びながら頬を撫でた手にさえ七瀬の身体は快楽を拾っているようだ。
「んっ……ハァ……ハァ…っ……もっと……ほしぃ……」
本能のまま言葉を吐く口は酸素を求めて薄く開いている。
手を頬から首筋へと滑らせて、付けたキスマークを撫でた。
「んぁ……っ………」
七瀬は恍惚な表情を浮かべ悦んだ。
「………こんなもんじゃ、守れやしないか」
このαがΩに渡す“お守り”は本来番となることを決めた者同士で行われる、言わば婚約のようなもの。
だから、互いが想い合っていなければその効果は現れない。
襲われたと言うことは隠せなかったと言うことで、つまりそれは……。
「……俺か、お前か、両方か…………どれにせよ結果が全てか」
「……ハァ……っね、もっと、さわっ…て……」
唯一纏っていたバスタオルが肩から滑り落ち、七瀬の身体を隠すものは何もない。
既に完勃ちしている七瀬のモノは蜜を滴らせながら、刺激を待っているようだ。
「ハァ……ほ…しぃ………あつい、やだ………っねが…ぃ」
七瀬のフェロモンは一段と濃さを増すのに、俺のモノはピクリともしない。
「うぁ……ほし、……ほし…ぃ……」
我慢出来ないと、七瀬は自分のモノを握り込み自慰を始める。
「あ………ぁう……っ……きもち、ぃ…………っ」
俺の目なんて気にせず一心不乱に扱き続ける手に、俺は自らの手を重ねた。
「俺がする。お前はただ、感じていればいい」
七瀬の手を退けさせて、代わりにモノを扱いてやれば腰は刺激に揺れた。
「あ、ぁっ………きも、ちぃ………っ……もっ、と…ぉ…………」
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