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遅咲き_43

「………何してんだ、お前ら」 頭がふわふわする………。 今の藍澤の声………? 「あ、バレちゃった」 「ご、ごめん司……一応止めたんだけど、七瀬くんめちゃくちゃ早いペースで呑んでて……」 んー……末松さん何で謝ってんだろ……? 「陽翔、大丈夫?」 今度は郁弥かな……。 うっ、身体揺すられるとぐらぐらする……。 「…んー……らぃじょーぅらしぃ………」 「はは、面白いぐらい呂律回ってないね。ちょーっとアルコール強すぎちゃったかな?」 手にしてたグラスを誰かが取り上げていく。 「……ちょっとじゃないだろ」 「わぁー、藍澤くん顔怖い!」 「お前な……」 「大丈夫だよ。僕が責任もって送ってくから」 「………………」 みんな何言ってんだろ……俺、普通に歩けるし……。 そうだ。見せてやろ。 「わっ、な、七瀬くん?そんな急に立ち上がったら危ないよ?」 末松さんうるさいなぁ……。 「…………ぁえ、る………」 足を踏み出したはずなのに、地面がふわふわしていつまでも足がつかない……。 あれ、おかしいな……地面、どこ……? 「――わあっ、危な!七瀬くん大丈夫?司に送ってもらった方が……」 「そうだよ、陽翔。僕も送ってくから」 支えてくれる末松さんの腕が俺の態勢を立て直してくれて、傍に寄ってきた郁弥が俺の手を取る。 「………ぃい。はらぁひぃて…」 「あ……もう、陽翔!」 郁弥は大切な親友なのに、何でムカムカするんだろ……。こんなん嫌だ……。せっかく仲直りしたのに……何で………俺、最低だ………。 「――七瀬」 呼び止める声はムカムカを作る諸悪の根元。 「着替えてくるから座って待ってろ」 「…うー……やらぁ……」 「七瀬」 「しょれなら、長谷しゃんに、おくってもらう……」 ボーッとする視界でそれでも精一杯睨んでやる。 「ご指名とは嬉しいね」 「お前は黙ってろ」 「おお、怖いなぁ」 「七瀬、大人しく座って待ってろ」

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