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不能_30
藍澤は肩を震わせて「嬉しいのか」と笑った。
「えっと、その、今日する……?」
「お前準備とかしてあるのか?」
「準備?」
「男同士のヤり方知ってるか?」
「後ろに突っ込むんだろ?俺Ωだし、準備なんてしなくても入るんじゃ……」
俺の主張に藍澤は頭を抱える。
「あのなΩだろうと身体の負担はあるに決まってんだろ。今日はしない」
「じゃあいつすんの?」
「次の発情期。一番身体に負担掛かんないからな。ゆっくり準備も出来るだろ」
「えー、でも発情期にしたら俺覚えてないかもしんないじゃん」
「理性飛ぶ前に抱いてやるから心配するな」
膨らせた頬を指で突かれて、恨めしく藍澤を見上げた。
「なあ、これさ俺がしちゃだめ?抜くだけなら準備とかいらないじゃん?」
「そんなにしたいのか?実は結構淫乱?」
「なっ、違、そうじゃなくて!俺、藍澤にしてもらうとすげー幸せな気持ちになるから……アンタにも同じ気持ちになってもらいたいなって、思って……。上手く出来るかは――」
分からない、と言い切る前に足が宙に浮いて俺は間抜けな悲鳴を上げた。
「え、ちょっ、何だよ!いきなり抱き上げんなってば!」
「あんな廊下じゃ出来ないだろ。してくれるんじゃないのか?」
「……するけど」
そんな嬉しそうに笑われたら大人しくするしかない。
寝室のベッドに静かに降ろされ、藍澤本人は着ていたジャケットを床に脱ぎ捨てて、軋ませながら乗り上げてくる。
「ん?何だ、じっと見て」
「いや……顔がいいって得だなって」
「お前、本当俺の顔好きだな」
自然と顔が近付いて、流れるように唇を合わせた。
触れるだけのキスだけど、気持ちが満たされる。
伸びてきた手がベルトに掛けられて、慌ててその手を制した。
「え、俺のもすんの?」
「してもらうと幸せな気持ちになるって言ったろ?」
「言ったけど……」
「ほらお前も」
促されて藍澤のベルトに手を掛ける。
「一緒にする方がいいだろ?」
「うん……」
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