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せめて 抱きしめて〜承〜 7
「げほっ・・・げほっ・・・」
むせて咳(せき)こむボクを、保険医は満足したように息を吐くと、やっと解放してくれた。
その後は、四つん這いにされて前と後ろを交代して犯された。
何度も奥まで突っ込まれ、何度も舐めさせられて、何度も射精される。
ボクは全然イけなかった。
前立腺を刺激されて、勃起してはいたが、嫌悪感が勝ってイくことができなかった。
好きでも何でもないヤツとセックスすることが、こんなに気持ち悪いなんて、知らなかった。
今まで誰に抱かれても、気持ち良くてどうしよもなくって、何度もイってたのに。
剛さん・・・剛さんとしたい・・・嫌だ・・・!!
ぐちゃぐちゃに犯されながら、ボクは剛さんを思い出していた。
会いたい、会いたい。
ただただ、会いたい。
貴方に会うためなら、こいつらを殺したっていいでしょう?
二人がまたボクの中で射精した。
ボクは涙と涎(よだれ)と精液にまみれた顔を、ベットのシーツに押し付ける。
二人がベットから下りる。
交代するのだろう。
わかっていても、体が動かない。
お尻が痛い。
逃げたいのに、体がいうことを聞かなかった。
痛みのあまり、体に力が入らない。
案の定、交代した二人が来る。
ベットに横たわっているボクを、二人は仰向(あおむ)けにさせると、一人が無理にぶち込んで来た。
「・・痛っ・・・!もう嫌だ・・・やめて・・・」
力なく泣きながら懇願するボクの髪を引っ張って、またしゃぶらされると覚悟した。
意外にも、ボクの髪を引っ張るやつは、しゃぶらせようとはせずに、ボクの顔をじっと見ている。
奥まで何度も突っ込まれて、気持ち悪さと気持ち良さの混ざった表情(かお)をしているボクの顔を、無言でじっと見ている。
後ろからの激しいピストンで体を揺さぶられて、気持ちの良い所を突かれて、酷(ひど)い表情をしているだろう。
そいつはボクの髪を更に引っ張る。
「痛いっ!」
思わず悲鳴を上げると、そいつはボクに顔を近づけて囁いた。
「あの大学生、お前の彼氏?」
「え・・・・?!」
「最近やけに早く帰るから、尾(つ)けたらお前T大に入り込んでたな」
「・・・っ!」
「あの柔道部のガタイのいい男。あいつに会いにいってんだろ」
ぞっとした。
まるで表情のない瞳で、声に表情もなく淡々というその様子に。
幽霊じゃないかと思うくらい、冷たい無表情。
突っ込まれている快楽と引き裂かれる痛みなんて、吹き飛んだ。
「違う・・・別に彼氏じゃない・・・違う!!」
恐くて、思わず叫んでいた。
「本当に?お前やけにあいつに懐(なつ)いてて、嬉しそうに話してるじゃん」
「違う、違う!!」
こいつ、何するかわからない。
下手したら、剛さんに何かするかもしれない。
「ゲームだよ・・・今まであんな真面目な人見たことないから・・・あんな真面目くんでも男のボクが落とせるか・・・ただのゲームだよ・・」
とっさにそんな嘘をついた。
剛さんを、みんなを守るには、こうするよりないと思った。
そいつは、ボクの言葉を聞くとにっこりと笑った。
「ふ〜ん、そっか。ゲームね・・・じゃあ仕方ない」
そう言って、そいつはボクの髪を放した。
「おい、早くイけよ」
ボクの中に突っ込んでひたすら腰を振っているやつに、そいつはそう言うとズボンのファスナーを外して、勃起したものを取り出した。
「わかってる・・・くっ・・・!」
イけと言われた男が、大量の精液を吐き出した。
お腹の中ではもう処理しきれなくて、穴の中から精液が出てきて、太腿を伝って落ちている。
その感触が、また気持ち悪かった。
ずぽっと音を立てて引き抜かれる。
そして、交代してそいつがボクの中へ入って来た。
そいつは激しくボクを犯しながら、
「ゲームに夢中になるのもいいけど、週一くらいは相手にしてくれないと、溜まりすぎて何かしちゃうかもよ」
笑いながら、瞳に狂気を孕(はら)んでそう言った。
こいつ、おかしい・・・恐い。
何でこんな・・・。
「わかった・・・」
ボクはそう言う他なかった。
本当に何かしそうな雰囲気だった。
ボクに何かされるのは構わない。
剛さんには、絶対に、絶対にダメ。
そいつはくつくつと喉の奥で笑いながら、ボクをねっとりとした視線で見つめながら、ひたすら腰を振って犯していた。
ボクはそいつが嘲笑(あざわら)いながら犯してくるのを感じながら、ただひたすら、剛さんの笑顔を思い出していた。
あの優しい、あったかい、笑顔を思い出していた。
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