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せめて 抱きしめて〜結〜 2
そして高校を卒業して、大学に入った。
以前、剛さんと同じT大に入りたいと思ったが、今更そんなこと望めなかった。
あの人が過ごした大学にボクなんか行けない。
汚してしまうから、行けなかった。
きっとこのセックス狂いは治らない。
きっと大学生になってもそれは変わらない。
あの人が過ごした大学で、あの人と過ごした大学で、そんなことできない。
ボクは全然関係ない3流大学に入った。
学力がないからそんなところしか行けなかった。
父は何も言わなかった。
呆れたように、諦めたように、表情を歪めただけ。
母はとりあえず大学に入ってくれればいいみたいで、ボクにはさっぱりわからない手続きをしてくれた。
大学生になったはいいけど、生活は変えなかった。
相変わらず家では一人ぼっちだし、ウリもしたし、学生と教授を誘って犯りまくっていた。
毎日決められた時間に登校しなくていいから、その点は楽で良かった。
乱交パーティーにも行くようになった。
誘われれば何処にでも行ったし、誰とでも犯った。
そんな生活を続けて、大学2年生になって半年がすぎ、本格的な冬が訪れようとしていた時、両親の離婚が正式に決まった。
前月に誕生日を迎えて、ボクは二十歳になっていた。
誰も覚えていない誕生日は、自分の部屋で一人で過ごした。
数ヶ月後には成人式だけど、きっと行かないで誰かとセックスしてるだろう。
両親はボクが二十歳になったので、やっと離婚できるらしい。
ボクには関係ないのに、『子供が成人するまでは』って言って、体裁を保とうとしている。
吐き気がする。
大人の事情なんて、知ったこっちゃない。
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