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せめて 抱きしめて〜結〜 14

剛さんはボクを引き寄せると、無理やり広い胸の中に抱きしめて、口吻けをしてきた。 後頭部をしっかりと掴まれて、動くことができない。 「んん・・・んふ・・・」 必死で胸を押し返しても、ボクの痩せぎすの腕ではびくともしない。 頭を動かそうにも、剛さんは力が強いので、全然動かせない。 がんじがらめに搦めとられる。 心まで搦め取られる。 口唇が不意に離れた。 「・・・はあ・・はあ・・・何で・・・」 剛さんは呼吸が上がっているボクを見つめるだけで、何も答えてはくれない。そしていきなりボクの細い体を、軽々と抱き上げる。 「ひゃ!・・・ちょっと・・・!」 びっくりして声を上げるボクを無視して、剛さんはボクをお姫様抱っこ状態で抱えあげると、何もない部屋の真ん中に置かれているベットに、ボクを寝かせて、そのまま上に乗って来た。 「剛さん・・・ちょっと待って・・・!」 「やっと、名前呼んでくれた」 「え・・・?」 予想もしないことを言って、微笑む剛さんにボクは思わず見惚れていた。 剛さんはそんなボクの上に乗ったまま、今度は深い口吻けをする。 舌が口の中に入って来て、逃げようとするボクの舌を搦める。 ああ・・・剛さんのキスの味。 もう二度と、触れることはないと思っていた口唇。 どうしよう。 どうしよう。 嬉しい。 剛さんに触れてもらえて。 キスをされて。 抱きしめてもらえて。 嬉しくて、嬉しくて、心臓が破裂しそう。 頭がおかしくなりそう。 このまま、死んでしまいたい。 貴方に抱きしめられたまま、キスをされたまま、死にたい。 今、死ねたら、どんなに幸せだろう。

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