103 / 112
せめて 抱きしめて〜結〜 14
剛さんはボクを引き寄せると、無理やり広い胸の中に抱きしめて、口吻けをしてきた。
後頭部をしっかりと掴まれて、動くことができない。
「んん・・・んふ・・・」
必死で胸を押し返しても、ボクの痩せぎすの腕ではびくともしない。
頭を動かそうにも、剛さんは力が強いので、全然動かせない。
がんじがらめに搦めとられる。
心まで搦め取られる。
口唇が不意に離れた。
「・・・はあ・・はあ・・・何で・・・」
剛さんは呼吸が上がっているボクを見つめるだけで、何も答えてはくれない。そしていきなりボクの細い体を、軽々と抱き上げる。
「ひゃ!・・・ちょっと・・・!」
びっくりして声を上げるボクを無視して、剛さんはボクをお姫様抱っこ状態で抱えあげると、何もない部屋の真ん中に置かれているベットに、ボクを寝かせて、そのまま上に乗って来た。
「剛さん・・・ちょっと待って・・・!」
「やっと、名前呼んでくれた」
「え・・・?」
予想もしないことを言って、微笑む剛さんにボクは思わず見惚れていた。
剛さんはそんなボクの上に乗ったまま、今度は深い口吻けをする。
舌が口の中に入って来て、逃げようとするボクの舌を搦める。
ああ・・・剛さんのキスの味。
もう二度と、触れることはないと思っていた口唇。
どうしよう。
どうしよう。
嬉しい。
剛さんに触れてもらえて。
キスをされて。
抱きしめてもらえて。
嬉しくて、嬉しくて、心臓が破裂しそう。
頭がおかしくなりそう。
このまま、死んでしまいたい。
貴方に抱きしめられたまま、キスをされたまま、死にたい。
今、死ねたら、どんなに幸せだろう。
ともだちにシェアしよう!